あなたは「瑕疵担保責任免責」という文言を物件資料の中で見たことがありますか?
「初めて見た」というあなた、意味は分かりますか?…というか、読めないですよね。。。
これは「かしたんぽせきにんめんせき」と読むのですが、実は非常に大きなリスクを持った重要な言葉なのです。
今回は、「瑕疵担保責任」とは何か?ということと、瑕疵担保責任免責の時に何が起こるのか、といったことをお話します。
特に、価格の安い築古物件に投資しようと考えている場合は必見です。
【もくじ】
瑕疵担保責任とは
瑕疵(かし)担保責任とは、「購入した物件に欠陥が見つかった場合、売主がその欠陥について買主に負う責任」を指します。
「売った物件に実は雨漏りがあった…」という場合、売主は買主に対して雨漏りを修理する義務を負うわけですね。
ここで言う「欠陥」というのは、「住むのに障害があるレベルの問題」を指します。例えば雨漏り、シロアリ被害、基礎の傾き、水道管のひび割れなど。
気付かなかった、言うの忘れてた、では済まない問題は、売った後でもきちんと責任持って売主が直さなきゃいけない。これが不動産取引のルールなのです。
なお、あまりにも欠陥のレベルがひどすぎて、住めない状態となった時は、買主は契約を解除することもできます。
…といっても、それは法律の規定だけで、実際の判例では契約解除が認められるのは極めてまれだそうです。売主の負担でかいですからね…
売却からいつまで責任があるの?
気になるのは、「売ってもずっと欠陥があったら責任を負わなきゃいけないの?」ということです。
もちろん、責任を負う期限はあります。一生売主が責任を負い続けるとしたら非常に責任が重いので、誰も不動産を所有しなくなってしまいますからね。
瑕疵担保責任を負う期間は、民法と宅建業法に規定されており、「買主は瑕疵を発見した(欠陥を見つけた)時から1年間、売主に瑕疵担保責任を追及できる」のです。
しかし、それでも売主の負担が大きいので、「1年間」という期間を短くしたり、「瑕疵担保責任免責(責任は負わない)」とする契約を締結する場合も多いです。
特に築古物件の場合は欠陥が見つかることが多いため、瑕疵担保責任免責としている物件も珍しくありません。
瑕疵担保責任が免責の場合に起こること
さて、注目したいのは、瑕疵担保責任免責の物件を購入したらどうなるのか?ということです。
瑕疵担保責任を免責するということは、つまり「買った物件に後で欠陥があったと分かっても、売主に責任はない」ということです。
購入後に雨漏りが起きても、シロアリに基礎を食われて床が凹んでも、買主のあなたが費用負担して修繕しなければなりません。
念入りに物件を内覧し、あちこち調査をしておかないと、思わぬ欠陥が見つかって出費がかさんでしまうかもしれません。
(ちなみに、僕の所有する2棟は瑕疵担保責任免責なのでヒヤヒヤしてます…)
なお、物件購入後に火災保険を掛けたとしても、瑕疵担保責任に関わる欠陥は、保険の範囲外のため補償はされません。
火災保険は「台風で瓦が飛んだ!」とか「火災の延焼で家が半焼した!」とか、突発的で偶然の事故に対して補償を提供するものだからです。
「既に発生していた」欠陥に関しては、火災保険では賄いようがないのです。
宅建業者売主の場合は免責にできない
ちなみに、宅建業者(不動産業者)が売主の場合は、瑕疵担保責任を免責とすることができません(買主も宅建業者の場合は除く。この段落全て同様)。
つまり、あなたが購入しようとしている物件の売主が不動産業者だった場合は、きちんと瑕疵担保責任は果たしてくれるということになります。
それだけじゃありません。不動産業者が売主の場合、なんと瑕疵担保責任の期間は「欠陥を見つけてから2年」までと、通常の規定より長くなります。
なぜこんなに不動産業者が冷遇されているのかというと、それは「プロと素人の情報格差」を是正するためです。
業者は不動産に対する知識が豊富で、かつ物件に対する情報も買主より圧倒的に多く知っています。
そのため、買主の無知につけ込んで、売主の自分に一方的に有利な条件で契約を締結させたり、物件の不都合を隠したりする恐れがあるわけです。
そうしたことが無いよう、不動産業者には「民法より重い規定」が課せられ、素人の買主が保護されているのです。
内覧は慎重に、瑕疵担保責任にも敏感に
これであなたも瑕疵担保責任がどういうものか、免責にするとどうなるのか、お分かり頂けたかと思います。
不動産投資では基本的に中古物件を取引することになります。そのため、瑕疵担保責任を免責とする物件も珍しくありません。
あなたは物件資料の備考欄までしっかり見て「瑕疵担保責任免責」の文言がないかどうかを調べ、不動産業者にも確認し、よく注意する必要があります。
もし免責物件で良いものがあった際には、必ず内覧で注意深くあちこち物件をチェックし、欠陥がないかどうか確かめるようにしてください。
大工やリフォーム業者など、プロに付いてきてもらうのも良い手段でしょう。シロアリなんかは重大な一方、普通に内覧しただけでは気付けない欠陥だったりしますからね。
【次はこの記事もオススメ】