こんにちは、すずきです。
あなたはインターネットを見ていて、不思議に思ったことはありませんか?
「あれ?そう言えば、色んなサイトで表示される広告、自分が今まで訪れたサイトの広告ばっかりだなぁ…」
ということを。
事実、あなたが楽天市場に訪問したら、以後あなたが見るネット広告は楽天の物ばかりになります。
同様に、証券会社のサイトを開いたら「口座開設しよう!」という広告が、英会話教室のサイトを開いたら「受講しませんか?」という広告が多く出るようになるのです。
「それって、誰かに行動を読まれてるってこと!?」
という疑問を持ったあなた、正解です。
あなたのネット上のアクセス履歴は読まれているのです。
…と言っても、ハッキングとかウィルスの類ではありませんのでご安心を。
この記事では、「一度見たサイトの広告が色んなサイトで表示される」理由と仕組みについて、元広告代理店の僕がぶっちゃけますよ。
【もくじ】
正体は「リターゲティング広告」だ!
「一度見たサイトの広告が色んなサイトで表示される」仕組みの正体は、ズバリ「リターゲティング広告」という広告配信手法なのです。
リターゲティング広告とは
リターゲティング広告とは、簡単に言うと「そのサイトに訪れたユーザーのサイト閲覧履歴を取得して、閲覧していたサイトの広告を優先的に配信する」というものです。
以下、概念図です(会社と通販サイトはフィクションです)
この概念図に基づいて、もう少しリターゲティング広告についてストーリー形式で掘り下げてみましょう。
まず、広告主は、三重県尾鷲市にある水産会社「尾鷲水産㈱」。
尾鷲水産は「色んな人に尾鷲の新鮮でうまい魚を食べさせたい!」という想いで、「おわせ魚市場(http://owasefish.com)」という通販サイトを運営しています。
今回は「おわせ魚市場」の売上をアップするために、「広告を打とう」という話になりました。
「おわせ魚市場」の担当者は、どこに広告を出せば良いのかリサーチを行いましたが、そこで【リターゲティング広告の効果が良い】という話をふと耳にします。
色々調べた結果、「これは良さそうだ」と言うことで、リターゲティング広告を配信するためのツール「Google Adwords」を使用することにしました。
そしてGoogle Adwordsで、「http://owasefish.com のドメインに訪れたユーザーのみに、おわせ魚市場の広告を配信する」という設定を行いました。
すると、Google Adwordsと提携している複数のサイトに、その広告の配信条件が通知されることとなります。
その後、提携しているサイトの1つに、2人のユーザーが訪問し、Google Adwordsの広告枠があるページを閲覧しました。
ユーザー1は「おわせ魚市場」に訪れておらず、一方ユーザー2は3日前に「おわせ魚市場」に訪問してブリの刺身を注文しています。
するとGoogle Adwordsは広告枠経由で2人のユーザーのサイト閲覧履歴情報を取得し、「おわせ魚市場」を閲覧したユーザー2にのみ、「おわせ魚市場」の広告を配信します。
「おわせ魚市場」の広告が表示されたユーザー2は、「届いたブリの刺身美味しかったなぁ。また買おうかな」と思ったのでした。
とまぁ、こんな感じです。イメージ掴めましたか?
リターゲティング広告が生まれた理由
ちなみに、なぜこのリターゲティング広告が存在するかと言うと、「ユーザーが一度も訪れたことのないサイトの広告を出すよりも、訪れた経験のあるサイトの広告を出したほうがユーザーの反応が良い」からです。
全く知らないサイトの広告なんて、ユーザーが興味を持っているかいないか分かりませんからねぇ。
逆に、一度でも見たことのあるサイトであれば、多少なりともそのサイトやジャンルに興味があるだろう、と推定することができるのです。
ゆえに、ネットで広告を配信する際は、リターゲティング広告の配信はスタンダードな選択肢となっているのです。
その他、類似の広告手法について
また、最近ではリターゲティング広告に類似する広告配信手法も増えてきました。
例えば、楽天市場など通販サイトの広告で、あなたが以前に見た商品のリストが表示されるもの。
これは「レコメンド広告」と言って、早い話が「サイト単位でなく商品単位のリターゲティング広告」」です。
他にも、「閲覧中のサイトや閲覧履歴を分析して、興味がありそうなサイトの広告を表示する」という手法や、「色んなユーザーの閲覧履歴を溜めて分析し、類似ユーザーが以前に訪れたサイトの広告を表示する」というものまであります。
ネット広告が、なぜか今まで訪れたサイトの広告だったり、あなたの興味に合致するジャンルの広告ばかりだったりするのは、これらが原因なのです。
リターゲティング広告の安全性について
こうしてリターゲティング広告などの仕組みを暴露すると、
「今までの自分が見たサイトの閲覧履歴を奪われるなんて…危なくないの?」
「こっそり見てたエロサイトの履歴が妻にバレたりしないか?」
ということが改めて心配になるかも知れません。
ですが、広告代理店でずっとリターゲティング広告の配信に関わっていた僕から言わせてもらうと、「リターゲティング広告は安心安全ですよ」。
確かにサイト閲覧履歴はGoogleなどの広告配信ツール会社に取られますが、それ以外のものは取られません。
あなたの名前や住所、勤務先といった個人情報は一切取得されません(万が一取得されたら、裁判ざたの大問題になる)。
また、サイト閲覧履歴も他の人にバレるような形にはならないので、安心してください。
むしろ、あなた好みの分野の情報が勝手に手に入りやすくなるのだから、メリットの方が大きいと思います。
まぁ、商品広告を見るたびに「これ欲しい!買う!!」となってしまう人だったら、出費が激しくなるのがデメリットなのかも知れませんが…
リターゲティング広告を見たくない時は
ちなみに、「安心安全と言っても、なんか気持ち悪いからどうにかしたい」というあなたには、きちんと対策方法があります。
多少面倒なのですが、以下の手順でリターゲティング広告が表示されなくなります。
・広告のURLをチェックし、広告配信ツールのドメインのトップページにアクセスする
・「オプトアウト」や「行動ターゲティングの解除」と記載のあるページを探す
・そのページにて、広告配信されない手続きを取る(大体クリック一つで行けるはず)
広告配信ツールごとにサイトの構成や配信解除設定の仕方が異なるのが厄介なのですが、この手順を踏むことでリターゲティング広告が表示されなくなります。
また、ブラウザのクッキーを消去すれば、今までの閲覧履歴が消えるため、リターゲティング設定もリセットされます(もちろん、また閲覧履歴ができたら広告が追従してくるわけですが)。
まとめ
以上、「今まで見たサイトの広告があちこちで配信され続ける」リターゲティング広告の中身についてお伝えしました。
リターゲティング広告には最初ビックリするかも知れませんが、セキュリティ面の心配もなく無害なので、特に気にしないのが一番だと思います。
もし、あなたのそばで「同じ広告ばっかり表示されるんだけど…何か怖い…」と言う人がいたら、この記事のことをそっと教えてあげてください。
じゃあの。
【追伸】
ネット広告の世界は日々進化して、めちゃくちゃ奥深くなっています。
マーケティングを学んでいる人や、お店のPRを打ちたい人は、まずこの本でネット広告の現状を把握してみると一気に世界が広がりますよ。