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「再建築不可」とは?投資するメリットとリスク対策も解説!

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不動産投資には数々のリスクがあります。

不動産には都市計画法や建築基準法など様々な法律が関わってきます。物件の構造や立地によって法規制は変わり、そこにリスクが存在する場合も珍しくありません。

そして、物件の立地次第で生じるリスクで最も典型的と言えるものが「再建築不可」というものです。

格安の中古戸建物件を物色しているとよく見かけるのですが、再建築不可物件のリスクと対策の仕方をきちんと知っていないと、購入するのはちょっと危険ですよ!

 

というわけで、「再建築不可」という言葉になじみのない不動産投資初心者のあなたに向けて、再建築不可物件について解説します。

この記事を読めば、再建築不可になる条件、再建築不可物件のリスクとリスクヘッジの仕方、そしてメリットを知ることができ、再建築不可物件でも安心して検討できるようになります。

一つずつ学んでいきましょう!

 

【もくじ】

 

再建築不可物件とは?

まずは「再建築不可」の意味について。読んで字のごとくですが、再建築不可とは「その場所に建物を再び建築できないこと」を指します。

再建築ができるかできないかは土地によって変わってきます。今その土地に建物が建っていても、そこが再建築不可であった場合、その建物を解体してしまったら基本的に建物を新たに建てることはできないのです。

 

再建築不可になる条件

土地が再建築不可となるのは、以下の条件を満たしていない場合です。

・接道(土地に隣接する道路)の幅員が4m以上で、かつ間口(土地が道路に接している部分の長さ)が2m以上

現行の建築基準法では、建物を建てられる土地は「幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」という規定があります。

図で表すとわかりやすいので、再建築可および不可の土地両方の例を図示します。

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引用:再建築不可の中古住宅を売却できるか? - 住まいる博士

前面道路が幅員4m未満の狭い道路だったり、土地が道路に2m未満しか接していない土地の場合、原則として新たな建物を建てることはできません(建築許可が下りない)。

この制限は、「火災などの災害から都市や建物を守る」という建築基準法の原則に基づいて生じるものです。

道路や間口が狭いと、災害時に緊急車両の出入りができなかったり、住宅などが崩れて道路が塞がれたり、向かいの家に火が延焼しやすくなったりする危険性がありますからね。

 

なぜ再建築不可物件ができるのか

では、「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という規定があるにも関わらず、なぜその基準を満たさない土地に住宅などが建っていて、「再建築不可物件」として売り出されているのでしょうか?

実は、それらの建物は「建築基準法施行以前に建てられたもの」もしくは「建築許可を得ずに建てられた違法建築物」だったりします。

前者を既存不適格物件と言いますが、後者の違法建築物も同様、それらは売却すること自体は可能なため、「再建築不可」と記載のある物件が多いのです。

 

また、隣の建物同士で壁が繋がっている「テラスハウス(長屋)」という形態があります。この場合、単独の物件解体は難しく、連棟全てを解体・再建築しなければならないため、「(単独での)再建築不可」と表記されます。

隣人などの許可を取って、支障がないように解体・隣接建物の構造を修復すれば単独解体もOKらしいのですが、テラスハウスの構造上「接道がない建物」も存在してしまうため、十分注意が必要です。

※テラスハウスの詳細は以下記事で解説しています。

 

他にも、用途地域が「市街化調整区域」にある物件も原則として建て替えができません(以下の記事を参照)。

 

このように、再建築不可物件といっても色々なパターンがあります。「なぜこの物件は再建築不可なのか?」をきちんと把握することも必要になってきますよ。

 

「幅員4m・間口2m以上」の例外規定

実は、幅員4m以上の道路に2m以上接していない土地でも、再建築が可能な物件が存在するのです。

この例外規定がある場合も、基本的には物件資料に記載があるはずです。ただし、セットバックなど覚えるべき事柄もありますので、よく読んでくださいね。

 

みなし道路(二項道路)

幅員4m未満の狭い道路でも、建築基準法の施工以前から建物が立ち並んでいた場合、特定行政庁(市区町村あるいは都道府県)の指定により「みなし道路」として建築基準法上の道路扱いになります。

つまり、狭くて自動車のすれ違いができないような道でも、そこがみなし道路ならば、2m以上接している土地は再建築ができるということになります。

 

とは言え、やはり狭い道路だと緊急用車両の出入りがしづらく危険です。なので、再建築には道路幅員を確保するために「セットバック」が必要です。

セットバックとは、建物を建てる際、道路の中心線から両側各2mの「道路境界線」まで敷地を後退させることです。

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引用:https://www.re-words.net/description/0000000519.html

上図の緑色50cmの部分がセットバック部分で、ここには建物や門、塀などの建築物を建てることはできません。

こうすることによって道路幅員を確保し、再建築を例外的に認めているということですね。

 

都市計画区域外の物件

基本的にほとんどの都市では、乱開発を防ぐために、建築できる建物の種類を制限する「都市計画区域」が制定されています。

しかし、住人が少なく、乱開発の心配がない田舎では、都市計画区域の指定がない(都市計画区域外)地域も存在します。

都市計画区域外の土地は、「4m以上の道路に2m以上接する」という接道義務がないため、他の要件を満たしていれば再建築が可能になるのです。

まあ、都市計画区域外の地域は居住ニーズが低く投資対象とするには厳しいので、さほど関係ないかも知れませんけどね。

 

再建築不可物件のリスク

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さて、再建築不可になる条件などなどをお話してきましたが、果たして再建築不可物件は不動産投資にどのようなリスクを与えるのでしょうか?

ここが最も大事なので、しっかり覚えておくことをオススメしますよ。

 

売却しづらく、価格も安い

「この物件、安い!」と思ったら、実は再建築不可だった…

という例は枚挙に暇がありません。再建築不可物件は、可能な物件より大幅に安いのです。売れないからね。

なぜ売れないかと言うと、もちろん投資家が皆それだけのリスクを認めているから。安いものには訳があるのです。

例えあなたが再建築不可物件を格安で購入できたとしても、将来的に処分する時には超格安で売却するか、取り壊すか、再建築可能なように隣地などを購入して合筆するか…という選択肢を取らなければなりません。

いずれにしても、不動産投資のメリットである「家賃収入+売却収入」双方を得ることが困難なため、相応の覚悟が必要になります。

 

建物が使用不可能になったら収益がゼロ

再建築が可能な物件であれば、経年劣化や災害などで建物がもう使えない状態になったとしても、解体して再度建物を建てれば、それで新たに賃貸収入を得ることができます。

しかし、再建築不可物件の場合はそれができないため、使用不可能になった建物は取り壊すしかありません。

解体費用を支払った上、建物が建てられない土地にはろくな価値がないので処分もままならず、逆に税金だけが少しずつかかってくる…なんて状況にもなりかねません。

そのため、再建築不可物件、特に築古物件の場合は「収益の継続性が低い」ということも知っておく必要があります。

 

購入時に融資を引きづらい

再建築不可物件は上記のようなリスクがあるため、金融機関としては資産価値を認めづらく、なかなか融資をしてくれません。

なので、あなたが再建築不可物件を買おうとした場合、融資に頼らず現金で購入するか、あるいは再建築不可物件でも融資してくれるノンバンクから少し高めの利率で借りるか、という選択肢になってきます。

不動産投資のメリットは、うまく融資を活用して安定したキャッシュフローを稼げることなので、融資が通りづらいのは痛手です。

もちろん、あなたが物件を売却する際も買い手は同様の状況に陥るので、その意味でも「再建築不可物件は売りづらい」ということになってしまうのです。

 

再建築不可物件にもメリットが!

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このように再建築不可の物件には数々の大きなリスクが付いて回りますが、逆にメリットも存在します。

このメリットを把握した上で、後述のリスクヘッジ戦略をうまく設定できれば、再建築不可でもおいしい投資物件が手に入る可能性が出て来ます。

 

安いので表面利回りが高い

再建築不可物件は上述の通り価格が安いです。そのため、再建築可の物件よりも高い表面利回りを確保することができます。

賃貸物件の場合、借主にとって「この土地は再建築ができるのか」というのは特に問題ではありません。

自動車の出入りさえ問題がなければ、再建築できる物件と同様の賃料設定を行うことは十分に可能です。

もちろん、再建築不可物件は売却時の価格も安いですが、何年も賃貸収入を得て投資額がまかなえる計算になれば買う価値はあります。

中には築古戸建て物件などで超格安の掘り出し物件なんかも出てくるので、一概に捨てたもんじゃないんですよ。

 

人気が低く、即売り止めの可能性が低い

不動産投資においては、とかく人気の高い物件は競争になりがちで、「どれだけ早く買付申込書を出して決済できるか」という勝負になるケースもあります。

この場合、内覧や検討のためのスケジュールや現金の多さがモノを言うため、どうしても人気物件を購入できない人も中には出て来ます。

しかし、再建築不可物件は少なくとも「人気の高い物件」になることは少ないので、じっくり購入の検討や収支計算をする余裕を持ちやすいのです。

焦って決断ミスをしてしまう可能性も下がるため、じっくり検討ができるのは助かります。

 

さらなる値引き交渉もできるかも

再建築不可物件は不人気のため価格が安いですが、中には何ヶ月も何年も売れ残ってしまっている物件もあります。

そうした物件では、「再建築不可だし、この価格じゃ厳しいですよ…」という文句を使って値引き交渉がしやすいのです。

不動産の世界では値引き交渉は当たり前。臆さずいきましょう。値引きができれば、そのぶんあなたが得られる利回りは上がります。

ただでさえ安い傾向にある再建築不可物件ですが、中にはもっと安くなる物件もあるんです。掘り出し物を自分で掘り当ててみませんか?

 

再建築不可物件を買うためのリスクヘッジ

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最後に、再建築不可の物件を購入するにあたり、数々の大きなリスクをどう対処していくべきか?ということをお伝えします。

これが成功すれば、再建築不可物件でも投資対象にでき、思わぬ掘り出し物に出会える可能性もアップします。

ぜひ覚えておいてください。

 

隣地を購入して再建築可にできそうな物件を選ぶ

実は、再建築不可物件も、隣の土地を買って合筆(複数の土地を一つに統合すること)することで、接道用件などを満たして再建築可能な物件に変身させることができるんです。

もちろんそういった物件は数少ないですが、それができれば、再建築不可物件の部分は安く取得ができるので、結果としていい買物になる可能性が出てきます。

隣地を買った場合、もちろん土地が広くなるので、既存建物を解体したらより大きなアパートを建設するといった選択肢も取れるようになります。

売却もしやすくなりますし、もし隣地を購入して再建築可能に仕立て上げられそうな物件があったら、収支を計算してみても良いでしょう。

隣地の情報は基本的に不動産業者が持っているはずなので、確認する価値はありますよ。

 

解体や贈与をしても最終黒字になる物件を選ぶ

再建築不可物件は、上述の通り建物が使えなくなってしまったら、まず収入は0になると考えてください。

建物を建築できないのに、その土地に建つ建物はとてもじゃないが使えない…なんて物件はろくに買い手が付きませんしね。

しかし、再建築不可物件のメリットは「価格が安く、利回りが取りやすい」こと。これを言い換えると、賃料収入だけで投資回収できる期数も短いということです。

 

あなたが300万円で購入した再建築不可物件を月5万円で貸したら、年商は60万円。表面利回りは60/300で20%、投資回収期は5年ジャストとなります。

その物件の解体費が150万円だとしたら、さらにその投資回収に2年半。つまり、月5万円で7年半ぶん賃料収入を得られた時点で、黒字で手じまいできる可能性が非常に高くなるのです。

もちろん、解体後の土地にも固定資産税がかかってしまうことは考慮する必要がありますが、隣人に庭や駐車場用地として譲渡できる可能性もありますし、決して損する一方にはならないはずですよ。

 

売却ニーズが見込める物件を選ぶ

上記の「隣人に庭や駐車場用地として譲渡できる」という例は、まさしく再建築不可物件を購入する時のリスクヘッジ戦術に繋がります。

要するに、「具体的に誰かが「買いたい!」と思うニーズがある物件を選べ」ということです。

ひょっとしたら、更地にした場合に隣人が買い取ってくれるかもしれません。建物の基礎が良い物だったら、ボロボロの建物でも大規模リノベーションで再利用したい人に売れるかもしれません(古民家とか)。

再建築不可物件は売却がしづらい分、きちんと「誰が欲しがるか」ということを事前に考え、売却のための戦略を考えておく必要があります。

もし売却ができそうな再建築不可物件があれば、収支計算の幅も広がり、より多くのチャンスが見えるようになるはずです。

 

結論、再建築不可の掘り出し物を狙え!

以上、「再建築不可」の説明からリスクヘッジに至るまでを解説しました。

 

僕の結論は「再建築不可物件は一概に見捨てるのではなく、掘り出し物を見つけたらオイシイよ」ということです。

僕が購入した再建築不可物件は、掘り出し物とは言わないまでも、超格安で購入できたため、破格で貸し出しても高い表面利回りを記録しています。

立地が良く地元の入居希望者を安定して見込めるし、家に住めない状態になっても、隣地の駐車場用地などの用途でも活用できる可能性があります。

 

再建築不可物件は難易度が高く初心者向きではないかも知れませんが、価格は安いため、年収の低い人でもスタートしやすいのでオススメです(僕なんて一棟目から果敢にチャレンジしてるし…笑)。

事前にしっかり勉強して、もれなく計画を立てていけば、再建築不可物件だからといって失敗を犯してしまう危険性はグッと少なくなります。

あなたも再建築不可のお宝物件、探してみませんか??

 

 

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