不動産投資をしていると、入居者の募集~賃貸借契約のどこかのタイミングで、必ず仲介業者から「AD」とか「広告料」という言葉を聞くことになります。
仲介業者が入って不動産の賃貸借契約を行う場合、借主は賃料の一ヶ月分の仲介手数料を、貸主(大家)は契約賃料の〇ヶ月分を広告料(以下、AD)としてそれぞれ仲介業者に支払うのが通例となっています。
ですが、実際にはその通例、違法なんです…。不動産業界は仲介業者にも大家にも管理会社にも違法な慣習が根付いてしまっているブラックな世界なんですよ。残念ながら…
今回は、ADの概念の説明とその違法な慣習についてお伝えしようと思います。また、最近起こった僕の事例についても書き記しておきます。
【もくじ】
不動産の広告料(AD)とは何か
不動産業界におけるADとは、「大家が仲介業者に依頼して掲載してもらった、賃貸・売却物件の募集広告に発生した広告料」のことを指します。
僕が仲介をお願いしている物件に早くお客さんを付けたいと思って、「地元新聞のこの広告枠に広告出稿してください」と仲介業者に依頼した場合、業者は広告を掲載し、その広告費を僕に請求する形となります。
ADの肝は「大家が依頼した広告である」という部分です。大家が特別に依頼したものでなければ、業者がHOME'SやSUUMO等のポータルサイトに掲載する料金も特に支払う必要はありません。
ADにまつわる違法な慣習
冒頭で、「契約成立時に賃料の〇ヶ月分を広告料として支払う」という慣習が実は違法であることに触れました。
これがなぜ違法かと言うと、業者が貰う〇ヶ月分のADは、特別に大家が広告を依頼していないにも拘わらず、業者が支払いを求めてくるのが常態化しているからです。
確かに仲介業者はポータルサイトへの物件情報掲載をはじめ、物件の現地調査や写真撮影、内覧の案内や契約書類の作成など、あなたの物件を契約成立させるために様々なコストを支払っています。
しかし、不動産のADはあくまで「依頼された広告費の実費」として請求するものに過ぎないので、いくら業者が必要経費を色々かけていても、本来ADは請求できません。
不動産業界では長らくこの慣習が続いてしまったこともあり、今では「ADを払う=当たり前、ADを多く払う=仲介頑張る、ADを払わない=紹介に消極的になる」という悪い構図になってしまっています。
もちろん仲介業者も違法行為を行っていることは理解している一方、「これが慣習でみんなやってるから問題ない」「上司からやれと言われているから仕方ない」という認識で、一向に是正しようという動きは見られません。
当然ながら大家側は不当なADなんて一銭たりとも支払いたくないわけですが、支払わないと業者がきちんと動いてくれず空室期間が伸びてしまうので、泣く泣く支払わなければいけない状況になっているのです。
ADは基本的に賃料の一ヶ月分という条件が多いようですが、二か月分以上の料金を求めてきたり、大家がやむを得ず支払う約束をしなければならない事例も見られます。
法律を破る業者が一人勝ちするようで、お客にとっては心中穏やかじゃないですよね…。
僕が遭遇したADについてのお話
さて、僕のお話ですが…。先日、空室が続いていた物件の入居が決まり、賃貸借契約などの手続きについて仲介業者さんとやり取りをしていた時です。
賃料と敷金の入金のタイミングを確認させてもらったのですが、その時にふと「そういえば…うち広告料は1ヶ月分なんですけど、お支払いどうしましょうか?」という言葉が先方から出て来ました。
今まで僕と業者の中でADに関する話は一切出ておらず、媒介契約も結んでいません。もちろん僕もADを支払う慣習があることは理解しているので支払うつもりはありましたが、最後の最後のタイミングで当然のように、しかも思い出したかのように言われたので腹が立ちました。
一応、その業者には良く対応を頂いていたので快く1ヶ月分をお支払いする形で返答しましたが、僕の心境は決して穏やかではありません。
もちろん「支払いません。金輪際、御社に依頼もしません」と突っぱねる選択肢もありましたが、やはりよく動いてくれる業者さんは貴重だし、他の選択肢がなかなか無い田舎の物件だったので、支払わなければならない状態でした。
この出来事を受けて、「不動産業界の悪質さを取り払いたい」「そもそも関連法規が実情に即さず不適切なだけなのか?」「不動産仲介業のビジネスモデルはそもそも破綻しているのでは?」などなど、色んなことを考えるきっかけにもなりました。
正直、法律が実情にそぐわないだけなのか、消費者が食い物にされている状態なのか、僕にはまだその判断はできません。
しかし今後は全国版空き家バンクなどもあって直接取引が盛んになってくる期待もあるので、そこから少しずつ仲介業者や不動産業界が変わっていけばいいかな…と思っています。
以上、余談でした。
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