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市街化区域、用途地域って何?不動産投資にも大切な都市計画法とは?

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物件を探していると、よく「市街化区域」「用途地域」「第一種住居地域」なんていう言葉が資料の中に書いてありませんか?

あれ、「どういう意味なのかよく分からない」というあなたのために、不動産業界には欠かせない「都市計画法」についてまとめました。

 

これを読めば、市街化区域だの調整区域だのと書かれていても、ちゃんとその意味が理解できるようになります。

そして、そこに潜んでいるリスクも掴み取ることができるので、不動産投資で思わぬ失敗をしないことにも繋がりますよ。

 

【もくじ】

 

都市計画法とは何か

都市計画法とは、「市街化区域」「用途地域」「第一種住居地域」なんて概念を定義している、不動産業界には欠かせない法律です。

都市の乱開発を避けて秩序ある安全な街並み作りのために、地域ごとに建てられる建物の種類を制限する法律です。

 

都市計画法では、各都道府県ごとに「都市計画区域」を定めることを義務付けています。

都市計画区域内では、地域の市街化の状況に応じて「市街化区域」「市街化調整区域」に分けることができます。

市街化区域ではさらに「用途地域」が制定され、エリアごとに細かく開発の制限が加えられます。

そして市街化調整区域は、開発を避けて農地や自然を残すための地域という扱いです。

 

なお、建物を建設するニーズが少なく乱開発の心配が少ない田舎では、あえてそれらを定めない「非線引き区域」とする場合もあります。

また、集落など人口規模が非常に小さい地域の場合は、都市計画区域に該当せず、開発の制限が最も緩くなります。

都市計画区域外でも、市街化が始まりそうな地域では、非線引き区域程度の制限が行われる「準都市計画区域」というものが制定されるケースも存在します。

 

このように、都市計画法はちょっと複雑で最初は取っつきづらいかもしれません。

以上の概念を図にして表すと分かりやすいので、以下に記載しますね。

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引用:http://www.takken-success.info/d-1.html

これから、不動産投資で最も必要になる「用途地域」と「市街化調整区域」をメインに、それぞれの法令上の制限について解説していきますね。

 

市街化区域とは

市街化区域とは、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義されている言葉です。

すでに市街として成り立っている地域か、これから健全な市街化を図る地域が市街化区域に制定されます。

市街化区域では乱開発を制限するために、主に下記の「用途地域」をエリアごとに細かく制定することで、建物の開発を制限しています。

よって市街化区域は「最も規制が複雑なエリア」だと思ってください。

 

用途地域の詳細を説明

用途地域は主に「住居系」「商業系」「工業系」の3パターンに分かれており、それぞれ規制の強さに応じて様々な種類が存在します。

「ここは住宅地」「ここは繁華街」「ここは工場地帯」という形で地域の立ち位置を作り、住民が安心安全に暮らせるまちを作ろう、ということですね。

この用途地域のおかげで、閑静な住宅街の中に工場やキャバクラが存在する…なんてことが起こらなくなっているのです。

 

さて、では用途地域の一覧と、それぞれが課す開発制限について見てみましょう。

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引用:http://madoriguide.com/houki/yototiki.html

ご覧の通り、かなり細かく制定されていますね。用途地域の一覧について、種類ごとに簡単に説明をすると以下のような感じです。

・低層住居専用地域⇒戸建住宅を主とした、閑静な住宅街とする地域

・中高層住居専用地域⇒マンションや戸建住宅が立ち並ぶ住宅街

・住居地域⇒住宅が多くを占める地域

・準住居地域⇒主にロードサイドの住宅、商業が混在する地域

・近隣商業地域⇒日用品の買物に便利な地域

・商業地域⇒繁華街、オフィス街

・準工業地域⇒町工場の多い地域

・工業地域⇒工場メインの地域

・工場専用地域⇒工場のための地域

 

田園調布や芦屋のような高級住宅街は大抵「第一種低層住居専用地域」に制定されています。

住宅の環境を第一に考えた地域なので、騒がしい店舗などが建設されず、とても良好な住環境が保全されているエリアですからね。

新宿や梅田といった繁華街、丸の内や本町などのオフィス街では、店舗や事務所の開発制限が緩い「商業地域」の扱いです。

 

もっと言うと、この用途地域ごとに制定できる建ぺい率・容積率にも違いが出てくるのですが、これは物件資料に併記してあるので省略します。

※「建ぺい率・容積率って何?」という方のために、後日記事にまとめます。

 

用途地域を確認して、賃貸需要を考えよう

さて、不動産投資をするとなれば、ただ用途地域の概念を覚えただけじゃ足りません。

我々大家は「借り手が付いてナンボ」の世界なので、用途地域が賃貸ニーズに及ぼす影響まで推定できなくては意味がありません。

 

さて、どうすれば賃貸ニーズを推定できるかと言うと、上記の用途地域ごとの説明を見てもらえれば分かります。

投資用物件を探していると、「閑静な住宅街の一戸建て」「職住近接エリアのマンション」「町工場の多い地域のアパート」などなど、様々なものが見つかると思います。

あなたはその中のどの住宅に住みたいと思いますか?

僕は、どちらかと言うと町工場の多い地域よりは閑静な住宅街に住みたいです。ゴミゴミしていないですし。

 

つまり、用途地域からどんなエリアかを考え、貸したいターゲット層が住みよい場所かどうかを判断すればいいわけです。

ファミリーなら低層住居専用地域、忙しく働くビジネスマンなら商業地域が適しているなど、現地を実際に見る前からある程度の狙いが付けられます。

もちろん現地確認は必要ですが、こうすることで賃貸ニーズを推定でき、借り手が付きやすいかどうかの判断に使えるわけです。

 

物件資料の備考欄も注意して見よう

なお、市街化区域の場合、用途地域以外の「地域地区」が制定されている可能性があります。

これにも様々な種類があるのですが、大体は物件資料の備考欄に「~~地区」と記載があります。風致地区とかね。

こちらも合わせて開発制限がかかって来るので、賃貸ニーズの把握や再建築のプランニングのために、具体的な規制について業者や行政に確認しておきましょう。

 

注意すべき「市街化調整区域」とは

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安全な市街を作っていく市街化区域とは逆で、市街化調整区域とは「市街化せず、田畑や自然を保護する」ために制定される区分です。

よく地方都市に行くと、郊外に出たら一気に畑ばかりが広がる光景に移り変わるじゃないですか。あれは市街化調整区域が制定されているからなんですよ。

 

市街化調整区域は規制が最も厳しく、原則として戸建住宅の建築確認すら下りません。

そのため下記の要件に該当しない限り、市街化調整区域の物件は再建築不可となるのでくれぐれも注意しましょう。

 

市街化調整区域の例外要件

市街化調整区域では原則として建物が建てられませんが、いくつかの例外事項はあります。例えば、「農林漁業用の建築物」または「従事者の住宅」など。

しかし、このブログは不動産投資に関するものなので、そういう投資家に関係のない例外要件は言及しません。

市街化調整区域にある物件の投資を考えるに当たって、確認すべき要件を以下で解説します。

※あくまでも「建築確認が下りる可能性がある」だけなので注意してください。

 

「既存宅地」の許可条例がある

2001年5月までは、「市街化調整区域内でも、線引き以前から宅地であった土地は開発ができる」という、既存宅地の例外要件が存在していました。

都市計画法の改正によってこの要件は無くなってしまったのですが、自治体によっては条例でその「既存宅地」の例外要件をキープしている所もあるのです。

僕が早速その条例を確認できたのは新潟市。「限界集落が消滅の危機なのに、なりふり構っていられるか!」という想いで制定したそうです…

 

なお、この既存宅地要件の注意点として、「物件の購入前に、必ず自ら行政に再開発できるか確認しておく」ということが必要です。

というのも、既存宅地の法令が廃止されたことを知らない不動産業者も存在するらしいので…

当然ながら、間違った説明をして物件を購入させた業者には法的責任を追及することはできますが、時間と労力がもったいないですよね。

くれぐれも自分の足で、物件のある自治体に条例が制定されているかどうか、どんな制限があるのか、直接確認することをオススメします。

 

「集落内開発」の地区内である

集落内開発とは、ザックリ言うと「ここは市街化調整区域だけど、行政が指定した用途の建物なら建てていいよ」とする地区のことです。

こちらも市区町村によって要件が変わってくるので、もし集落内開発地区内に指定されている物件が見つかったら、事前に制限を調べておきましょう。

…といっても、調べた限り、現在は熊本県内でしか施行されていないみたいです。どうりで見かけないと思ったわ。

 

例え再開発ができても賃貸ニーズは…

さて、もう一つ注意点。市街化調整区域はいわば郊外の田舎エリアなので、市街地に比べて賃貸ニーズは低いです。

学校や職場、コンビニも遠いエリアには、大体の人は好き好んで住みませんからね…

 

とは言っても、市街地に近かったり、付近の幹線道路沿いに商業施設が立ち並ぶエリアも中には存在しています。

そういった物件であれば、一概に市街化調整区域だから…と諦めるのではなく、価格が安ければ購入を検討する価値もあるかも知れませんよ。

もちろん、市街化区域内よりも自然が豊かというアピールポイントもあるので、結局は物件しだい、といったところです。

 

非線引き区域、都市計画区域外はまぁ安心

小規模な都市や田舎町に行くと見られる非線引き区域や都市計画区域外の区域では、乱開発の危険性が低いので、開発の制限が緩いです。

そのため、更地から新築物件を建てて収益を得ることは比較的やりやすいです(一定の規模以上の開発の場合は許可が必要)。

都市計画区域外では再建築に必要な接道義務も無いため、再建築可となる土地が増えるのもメリットです。

…とは言え、基本的に田舎なので不動産投資に向いているかどうかは微妙ですが。

 

都市計画法は再建築、新築時に注意しよう

以上、都市計画法の概要についてお伝えしました。

中古物件を購入する一般的な不動産投資では、都市計画法はそこまで大きく気にしなくても問題ないケースは多いです。

ただ、「この土地に店舗用物件を建てて貸そう!」など、新たに物件を建てるところから始める投資を考えている場合は、しっかり用途地域などを確認しましょう。

 

新築投資を考えていない僕のような投資家は、「用途地域から賃貸ニーズを推定できること」「市街化調整区域は再開発が原則不可なこと」だけ知っていればOKです。

 

 

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