街の景観を主に形作るのは住宅。そこが違うからこそ、東京と田舎の雰囲気の違いって出るのかも知れません。
こんにちは、空き家バンクの運用で不動産屋ばりに尾鷲の家々を眺めているすずきです。
東京の住宅は「マンション」「新築戸建て」がデフォ
東京23区内の住宅街は、基本的にどこもかしこもマンションか、平成に入ってから建てられたっぽい戸建て住宅に溢れています。
もちろん、昭和の時代に建てられた、築30~50年くらいの物件も良く目にしますが、それよりも前に建てられた物件となると、なかなか見ることが出来ません。
これは、一つは戦時中の空襲で東京の街がほとんど焼けてしまったことで、戦前からの建物がほとんど残っていないことが原因。
そしてもう一つは、築古の物件は建て替えや取り壊しで無くなっていくのが理由です。
東京は面積の割に人がものすごい数住んでいて、23区内の人口密度はどこも半端じゃない数値になっています(千代田区は、平日昼間の人口密度が異常)。
という事は、つまり住宅が足りない。土地が足りない。
住宅が足りないという事は、そもそも住宅に対する強いニーズがあり、「お金を出しても良い家を買いたい!」というニーズも絶対的に多くなります。
住宅メーカーや不動産会社は、もちろん築古の家より売値の高い新築物件の方が良いので、古い建物はドンドン取り壊され、新しい建物に取って代わっていくのです。
そうした背景もあり、東京の住宅街の街並みはほとんど画一的。
住宅街として人気の高い世田谷区や杉並区、練馬区なんかは本当に「ザ・住宅街」って感じです。
僕から見ると、それって何だかちょっとつまらない街並みなんですよ。
どうも「良い高校に行く⇒良い大学に行く⇒良い企業に就職する⇒給料いっぱいもらう⇒良い嫁さんもらう⇒都内に新築一戸建てを構えて住む」という、典型的勝ちパターンに乗っかっている人々ばかりの街な気がしていて。
終身雇用も崩壊しつつある今、そんな「大手に勤めて給料たっぷりもらって家を買う」なんて昭和の発想、面白くないじゃないかと、僕は勝手に思ってしまうのです。
だって、右向け右で個性が無い、超ステレオタイプな人生を表しているように思えちゃうのでね。
いや、もちろん、良い企業に勤めて立派に仕事をこなして、都内に新築一戸建てを構えられるような人なんて羨ましいですよ。
僕はそのレールを諦めて、不安定でも自分の好きな仕事を追い求める道に踏み出しましたから。
ただ僕はあくまでも、街並みがつまらないって話をしているのです。はい。そうです。
東京は本当に住宅の新陳代謝が早く、建物の解体も頻繁にありますし、土地が売りに出たらすぐ買われ、新築マイホームが建築されていきます。
さらに、築古の物件が密集する区画では、ひたすら「地上げ⇒再開発」が続いていたりもします。
三軒茶屋の三角地帯の再開発計画なんて反対も多いようです。確かに汚くて古い区画でしたが、呑兵衛横丁としてとても風情がある所ですからねぇ。
オフィス街でも同様で、都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)を中心に、古くて小さい雑居ビル群を、一棟の超高層ビルに建て替える事業があちこちで行われています。
新しくて綺麗な建物の方が、古いものよりも安全・安心で、提供側も利益が多く取れるメリットは確かにあります。
でも、その分、街並みが画一化されていってしまうのは、僕としては物足りず寂しい気持ちになりますね。
かつて下町の風情を色濃く残していたはずの日本橋なんて歩くと、ほぼ全てオフィスビルとマンションしか無くてげんなりします。
田舎の住宅は、ほとんどが古い戸建て
はい。対して、田舎に行くと、今度は「築古の戸建て住宅」がメインになってきます。
逆に築浅の物件やマンションはあまり見かけず、昭和を感じる街並みが色濃く残る地域も多いです。
東京では重宝され、人によっては垂涎モノであるいわゆる「古民家」と呼ばれる類の物件も珍しくありません。
農村部に行けば、戦火を免れた(疎開先だったとか)立派な戦前のお屋敷なんてゴロゴロあるみたいですよ。
ちなみに、僕が住んでいる尾鷲の家も、大正時代に建てられた築99年の古民家です(お店になるような綺麗な建物ではないですが…)。
田舎はどこもかしこも人口流出が続いている為、住宅ニーズは基本的に低い。
だから、新築物件は東京に比べるとかなり少ないのです。
その街で役場とかに勤め、そこそこの給料を貰いながらその土地で暮らし続ける若者だけが、新築一戸建てに手を出すくらい。
多くの若者は高校を出たら田舎を出ていくか、賃金が安く新築に手を出せないブルーカラーの職に就きます。
そんな生活なもんで、新築物件は勢い良く増えようがありません。
古い物件は結構造りが色々で、東京出身の僕としては見てて楽しいです。
屋根を取っても、瓦屋根なのかトタン屋根なのか、スレート葺、あるいはコンクリのビルみたいな建物なのか、まちまちです。
構造は木造がほとんどですが、外壁は無垢の木だったり、塗装されていたり、焼かれていたり、トタンが張られていたりと様々。
既存不適格や未登記の物件も珍しくなく、無茶な増築部分があったり、トイレや風呂が離れだったり、井戸があったり、なかなか見てて飽きないのです。
まぁ、東京の新築ラッシュとどちらが良いか?と聞かれれば、それは何とも言えませんけどね…
僕としては、東京になかなか無いノスタルジーに落ち着けるので、田舎の街並みの方が好きです。
東京でも、台東区とか昔ながらの街並みを残す地域が好きでしたしねぇ。谷中とか、御徒町、浅草、良いよねぇ。
僕はせっかく田舎に来たもんだから、最近流行りの古民家カフェ的なもの、やっぱやりたいですよー。
とは言え、田舎でカフェを経営して儲けられる自信は微塵も無いので、やるならカジュアルバーですかねぇ。
やっぱり、単なるビジネスじゃなく、地域住民や観光客、移住希望者のコミュニティの場も作って行きたいので、そうなると飲食店ってのが一番分かりやすいからね。
とは言え、飲食店のオペレーションに自分が入ってしまうと、労働集約でそこから抜けられなくなるのも事実。
そうなると、他の動きが取れなくなったり、尾鷲を離れられなくなってしまうので、やっぱり経営に回るようにしなくちゃいけないなぁとは思います。
すると、従業員が必要で、従業員を安定して雇用できる十分な利益計画が必要で、と…
やっぱり商売は甘くないなぁと、思いついた時から感じました。まぁ、引き続きやるかどうか検討します。
じゃあの。