なかなかに激しい飛び具合でした。
こんにちは、すずきです。
須賀利町は、昭和の大合併で尾鷲市となった地域なのですが、今となっては「ものすごく飛び地」となっている地域です。
さっそく地図を見てください。
この、尾鷲市の北東部分に位置するのが須賀利町です。
海を挟んで、見事に尾鷲市本土から飛んでますねー。
ちなみに、北側の陸続きの部分は、尾鷲市の北部に位置する紀北町です。
だから、須賀利町は紀北町を挟んで尾鷲市の飛び地になっているというわけですね。
元々、須賀利町が飛び地になったのにはれっきとした訳があります。
実は、昭和後期になるまで、須賀利町への陸続きの道路は存在しなかったのです。
つまり、今の紀北町にはアクセスする事ができなかった訳です。
どんだけ田舎だよって話なんですが、まぁそこは田舎の限界集落ですからねぇ。
そうしたら「須賀利へのアクセスってどうなるの?」ってなると思うのですが、実は数年前まで、尾鷲港から須賀利町までの定期船が運航されていたのです。
今は道路も開通し、船の利用者もめっきり少なくなったことで廃止されてしまいましたが、かつては船が唯一、須賀利町へアクセスする手段だったようです。
だから、陸続きだけどアクセスできない紀北町ではなく、海路でアクセスできる尾鷲市に編入されたんですね。
もっとも、今は船が無くなって道路が開通した事で、尾鷲本土よりも紀北町との繋がりが濃くなっているようですが…
まぁ、道路が開通したと言っても、須賀利町へのアクセスはなかなかに骨が折れます。
尾鷲にはいくつも漁村集落があり、熊野市の手前の梶賀町なんかも遠いのですが、須賀利町はさらに遠い。
海路だとそんなに距離は無いのですが、道路は紀北町からぐるっと回って半島に入り、激しい山道を進んで行くので、距離以上に時間が掛かります。
尾鷲の市街地からだと、大体40分くらい。東京から横浜まで行けそうですね。
そんな秘境とも言うべき須賀利町ですが、街は本当に静かです。
にほんの里100選にも選ばれた、とても小さな漁村集落。
波音もしない静かな入江を急な山々が囲っていて、その山のふもとにへばりつくようにして瓦葺の住宅が立ち並びます。
海の手前に民家が並び、さらに崖を上った所にも民家がある
波音は無く、車もロクに通らないし、住民も少ないので、街に音はほとんどありません。
たまに海鳥の鳴く声が聞こえたり、風で木々や家の戸が揺れる音がするのみ。
ひたすら何もせず、海を眺めながらひなたぼっこをしたくなります。
さて、実は僕ですが、今仕事で市が運営する「空き家バンク」を担当しています。
尾鷲市内の空き家を発掘・希望者に提供するためのサービスなのですが、須賀利町へはその物件仕入で訪問をしたのです。
で、見に行った物件が、これまたすごーく良かったのです。
何が良いかって、部屋からの眺めがすごく良いのと、家の状態がとても綺麗で、掃除だけすればそのまま使えそうなほど。
普通、空き家バンクで取り扱うような古民家って、数年放置してあるような物件なので、色んな部分を修繕して使う必要があります。
首都圏とかで中古の一戸建てを買うのとはまたイメージが違います。
「自分で修繕・リノベーションを手配する前提で使ってね。その費用入れても500万行かないしね」的な感じです。
その中で、ほとんど手を入れる必要が無いのは素晴らしい。
綺麗に、ていねいに家を使っていた感じが伝わってくる物件でした。
アクセスは悪いですが、この眺めとゆったりした時間を自分のものに出来る家って、かなり贅沢。
東京で中古ワンルームマンションの一室を買うよりも安い値段で買えるっていうのも驚きだし、本当、尾鷲に来てから住宅に対する価値観は変わりますねぇ。
津辺りや名古屋、京都に住んでいる人達の別荘にもピッタリそうな、類まれなる両物件。近日公開。
物件調査しているこっちが羨ましくなったほどでした。笑
昔ながらの漁村の風景が、静かな海に沿って広がる須賀利町。
たまーに、マニアックな観光客も来るそうです。
一度、時間があったら頑張って行ってみても面白いかもしれませんね。
じゃあの。