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移住施策の本質は「地域の市場価値を向上する為の投資」なんじゃないか。

今の僕の考えでは、それが答えなのではと。

こんにちは、すずきです。

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猫も杓子も「移住促進」の時代

人口減少社会になった日本においては、今や全国各地で人口減、過疎化が問題になっています。

僕の住む尾鷲市はその傾向が顕著で、今や人口はピーク時の半分ほど。

市にも関わらず、人口は18,000人程度しかいない状態です。

 

当然、街はかつての賑わいを無くし、次から次へと空き家が増えています。

かつて栄えていた商店街にはシャッターが下り、国道沿いの商業施設からも少しずつ地元客が減ってきています。

農林漁業が衰退した現代にあっては、外から人を持ってこれる有力な産業も地域にはありません。

また、ハイレベルな教育機関もない為、若者の流入もない状況です。

 

これは尾鷲のみならず、全ての田舎町に共通すること。

人々はみな高い教育レベルや給料、文化水準を求めて大都会へ出てゆき、そのまま戻ってこない人が多数を占めています。

その結果、大都市圏では人口増を続けている自治体も多い一方で、その他の地域ではほとんどが人口減となっているのが現状です。

 

そうして、全国各地で人口減による地域活力の低下が問題になり、それを解決すべく、各市町村は「移住促進」に取り組むことになりました。

地方創生を推進する安倍政権のもと、国を挙げての一大施策。

今では全国各地で「うちにおいで!!住んで!!」の大合唱です。

 

もちろん、三重県でも多くの自治体で移住促進に取り組んでいます。

先週の土曜日は、大阪の本町で、三重県が旗振り役となり、各市町村の移住相談会を行ってきました。

僕は尾鷲市の地域おこし協力隊として、移住促進施策を行っているのです。

本当にそれで良いのか、という疑問

こうして、あちこちの自治体で移住促進施策が活性化している状況がここ数年続いています。

そのおかげもあり、今や「田舎暮らし」とか「移住」っていう言葉はブームになりつつあり、縁の無い田舎町に引っ越す人とか、ローカルベンチャーの立ち上げは目に見えて増加しています。

今まで何もなかった田舎町にも、新しくお洒落なお店が出来る事もちらほら。

 

しかし、僕にはそんな移住促進に一抹の疑問がありました。

確かに移住促進施策は成果も出ていて、社会のトレンドが出来てきている。

 

でも、果たしてあちこちの自治体がこぞって行っている施策って、本当に必要なんだろうか?

「ただあちこちでやってるし、交付金もあるから、うちもやろう」って感じの自治体がほとんどなんじゃないか?

天邪鬼な僕には、そういう疑問が芽生えてしまうのです。

 

というのも、どの自治体を見ても、やっている施策がほとんど同じだからです。

移住パンフレットを作り、移住サイトを作り、地域PR動画を作り、移住体験住宅を立ち上げ、移住に対する助成金制度を作り…

我々尾鷲市も例外ではなく、移住体験住宅とか、サイト開設とか、他の自治体でも実施している事に着手をしています。

 

もちろん、それ自体が一概に悪いとは思いません(だからこそ、僕も月並みな事業から進めている訳ですが)。

地域の情報発信は、移住の検討に最低限必要な要素だし、実際に地域で暮らす体験をすることも不可欠だと思います。

しかし、地域によっては、それこそ適当な施策ばっかりで「皆やってるからうちもやろう」的な感じが拭えないのです。

 

適当な施策、というのは、単純にやる気が見られないもの。

他の自治体の成功例を丸パクリする所も珍しくないように見えます。

丸パクリでなくても、自分の地域の現状やサービス受益者の現状を考えておらず、明らかに利用者が居ないだろうな、という施策も多い。

 

そうなってしまっているのは、担当のやる気が無い、というのも勿論でしょう。

しかし、それより根本的な問題だと思うのは、「移住促進の本質を考えていない」という所だと思うのです。

 

 

移住促進って、実際のところ相当難しい。

仕事、住まい、教育、育児、地域交流などなど、人が移住という意思決定に至るまでに、長い期間を要する+複雑な要素が絡み合いまくるからです。

生半可な事じゃ上手くいかず、適切な施策を数年単位で運用し続けることが必須なのです。

 

そんな中では、自治体全体における移住施策のビジョン策定が必須です。

トップが発信する明確なビジョン無くして、中長期的なまちづくり―移住促進という施策は成り立ちません。

明確なビジョンが無ければ、施策はブレにブレまくって、効果が大きく減少します。

 

そして、ビジョンを策定するには、地域の抱える問題の本質と、移住促進施策の立ち位置を考えることが必須。

「うちの街の衰退の最大の原因はこれで、それに対するアプローチの一つとして移住促進を行い、こういう成果を出す」

という風に、明確に事業の立ち位置を定め、具体的な戦略を定めないといけないのです。

 

例えば、地域の本質的問題を「産業が皆無で、住民が外に出ざるを得ない」と考えるとしたら。

既存の産業の拡大は非現実的なので、新規産業の創出が施策の候補に挙がります。

で、色々リサーチをしていくと、最近はITインフラの発達で「ノマドワーク(どこでも仕事ができる事)」が盛んになってきている。

IT業界は場所を選ばず働け、利益率も高い傾向にあるので、法人税収の増加に繋がりやすい。

 

そう考えた時に、IT企業の誘致が施策として挙がってくる訳です。

そうしたら、地域にインターネット環境を整備し、地域住民の企業受け入れ体制(感情的な反発を無くす等)を作り、IT企業誘致の土壌を整備する。

その上で、企業誘致の営業活動を行っていく、というのが流れになります。

 

その一環として移住施策が絡んでくる訳で、その場合は、こういうアプローチになるんじゃないでしょうか。

「田舎でのびのび暮らしながら、しっかり働く」

「今の仕事を辞めずに、通勤の手間を無くし、畑仕事もできる暮らし」

「まだ東京で消耗してるの?」

 

 「IT企業誘致」という地域問題解決のための目標に照らして、移住促進のアプローチを行う訳ですね。

こうすると、「職住同一あるいは近接の環境を提供しよう」とか「地元店舗にwifiを導入してもらおう」なんて、一貫性のある施策が打てる訳です。

で、結果として、ターゲットに刺さる効率的な施策を展開できる訳なので、街の方向性に向かって、移住施策もうまく行く可能性が高い…と想定できます。

移住施策の本質とは

タイトルにもある通り、僕は、移住施策の本質とは「地域の市場価値を向上する為の投資」であると考えています。

そして、移住施策とはまちづくり、地域活性化施策の一環に過ぎない。

移住施策は「地域をどうしていくか」というビジョンを実現するための一手段です。

 

そうした立ち位置の中で、移住施策は「投資」と考えるのが最も近いんじゃなかろうか?と僕は思うのです。

それはなぜかと言うと、「まちづくり」とか「地域活性化」という言葉は、現実に即して見ると「地域の市場価値を向上する活動」であると言えるからです。

観光促進とか、新規店舗の開業助成とか、産業振興といった事業が、大体それらの言葉の元に行われる施策なので。

 

街を活性化する―住民を増やす、経済活動を活発化する―といった行為は、「より多くの人に価値を認めてもらう事」

それはすなわち、「市場価値の向上」と言い換えることが出来ます。

「市場=多くの人々 価値=人を幸せにする力」ですからね。

 

尾鷲で言えば、「おとと」のような、尾鷲ならではの新鮮で美味い魚を気軽に買える店が出来たりとか。

静かな漁村の雰囲気を満喫できる上質な宿、三木浦ゲストハウスが出来たりとか。

そうする事で、「より多くの人々を幸せにできる街」になって来ているのです。

 

「尾鷲いい所やね」「また来たいねー」と言って貰い、また街に来て、街でお金を落としてもらえる。

それこそが、地域の市場価値の向上です。

 

しかし、その市場価値向上のための取り組みには、リソース(資源)が必要です。

リソースとはつまり、人・物・金です。

 

行政は国からお金を引っ張って来れるので、「金を使って物を作る」ということが可能です。

しかし、今まで行政主導のまちづくりに関しては、「人」のリソースが不足していました。

「人」と言うのは、単に労働力やプロジェクトマネージャーを指す訳ではありません。

「人が持つ知識やノウハウ」も、「人」というリソースには含まれています。

 

行政はビジネスのプロではないので、どうしても「市場に認められる価値ある事業」を生み出すことが難しい。

それはひとえに、ビジネスに対する知識やノウハウというリソースが不足しているという点に尽きます。

 

その不足を補うのが、「ビジネス能力=市場に価値を提供する力」を持った民間です。

しかし、どうしても田舎は人がおらず、産業も弱く、民間の力に乏しい。

それが故に、行政が主導でまちづくりに取り組まなければならず、歯車がなかなかかみ合わない現状があるのです。

 

移住施策は、外部の知識やノウハウを持つ民間人を地域に引っ張って来るもの。

もちろん、移住者全てがまちづくり活動に能力を活かす訳ではありませんが、「人」という貴重なリソースを補充する手段であると言えるのです。

 

つまり、移住施策とは「地域の市場価値を向上する為の、人的リソース獲得活動」と言い換えることが出来るのではないでしょうか。

目標達成の為の手段=「人」を、数年単位で誘致して行く、と言うのは、まさしく投資活動と言えるのではないかと。

 

だから、ただ「人口減を止めよう、人口を増やそう」と言うのではなく、「力のある移住者にまちづくりを担って欲しい」とか「移住者を増やして、魅力ある街と思って貰おう」という考え方の方が、僕的にはしっくり来ると思うのです。

それを受けて、今後自分はどうする?

という訳で、僕の移住促進に関する持論を述べてきました。

ですが、大事なのは移住担当として「今後何をしていくか」ですよね。

 

僕が今後やりたいと思っているのは、「移住者のビジネスサポート、能力開発」です。

 

上記二点に関しては、当然ながら?先駆けて実施しておられる方が何人もいます。

尾鷲でのインターンシップ制度を開発したり、インターンシップを受け入れる各企業だったり。

もちろん、僕が彼等に及ぶとは思っていませんが、それでも移住担当としての側面から、そういった要素を担うのは大事かなと。

 

結局、まちづくりに最も必要なのはビジネス能力(と、地域への愛と問題意識か)。

そして、地域に定着するのに最も必要なのもビジネス能力=「就職先を確保する力、自ら起業して食べる力」です。

 

その2つを同時に解決するため、移住者のビジネス支援はしっかりやって行きたいです。

具体的には、店舗や旅館開業申請の代行とか、販売促進、情報発信のお手伝い等々。

自分が持てるノウハウは限られていますが、知識と労働力の提供は出来ます。

移住者だけでなく、地元企業の方々に対してもですが、僕の持てるリソースを提供して行きたいなと思っています。

 

ただ空き家バンクで住宅を紹介しているだけじゃまだ足りず。

住宅を紹介したら、今度は職を紹介したり、店舗物件を紹介して、開業のお手伝いをしたりとか。

地域活性化の一翼を担ってくれる貴重なリソースとして、移住者の方々に頑張って頂けるよう動いて行きたいなーと思います。

もちろん、移住者の方がそれを希望していたらですけどね。

 

まだまだ頭で考えているだけで留まっている現状ですが、頑張って少しずつ動きます。

尾鷲の皆様には、どうか諸々ご支援のほどよろしくお願い致しマッスル。

僕は地域活動や企業活動に色々と奉仕します。

 

 

じゃあの。