あなたは「不動産業者しか買うことのできない物件」が存在することを知っていますか?
結構珍しいのですが、こんな感じで記載がある物件です▼
引用:http://www.saikenfuka.jp/buy/shosai.html?buy_list_detail=7447
東京都杉並区、新高円寺にあるアパート物件。比較的人気の高い杉並区エリアでは利回りはまあまあ良い方です(リスクも大きいですが)。
しかし、「※不動産業者に限る」と記載があるように、この物件は不動産業者=宅建業者にしか購入を認めていません。
もし一般人のあなたが「買いたい!」と思っても、残念ながら購入は断られてしまう物件なのです。
では、この物件はなぜ宅建業者しか買えない物件なのでしょうか?
その気になる理由について、解明しようと思います。
原因は「瑕疵担保責任」にあり
結論から言うと、宅建業者しか買えない物件が存在するのは「瑕疵担保責任」の制度があるからです。
瑕疵担保責任とは、一言で言うと「購入後も物件の欠陥に責任を持つ」義務のことです。
※「瑕疵担保責任」がよく分からない方は以下の記事をどうぞ▼
通常、民法の規定では、売主は売却した不動産に対して、引渡しから1年間は瑕疵担保責任を負うものとされています。
しかし正直に言って、1年間も売った物件の欠陥に責任を負わなければいけないのは厳しいです。
「やっと不要になった物件が売れて落ち着いた…」と思ったのに、物件に雨漏りやらガス管の破裂やらが起きて、その費用まで支払わなければいけない。
そうなると、お金に余裕のない一般人には不動産を売るのも一苦労なわけです。
「自分はもう不動産を売ったんだから、買った人で責任を持って欲しい」となり、不動産売買が活発じゃなくなってしまいます。
なので、通常1年間の瑕疵担保責任は、売買契約の特約で責任を負う期間を短くしたり、そもそも責任を負わないとすることが可能なのです。
特に築古の物件はあちこちに欠陥が生じる可能性が高いので、瑕疵担保免責とするパターンがほとんどです。
宅建業者売主の場合の例外規定
ですが、宅建業者が売主の場合、そうはいきません。
瑕疵担保責任を免責にするどころか、2年間以上責任を負うことが義務づけられてしまうのです。
一般人のあなたが宅建業者売主の物件を購入した場合、引渡しから2年間は雨漏りなどが発生しても売主に修繕を求めることができるんです。
もちろん、これは宅建業者にとっても重い責任です。
「あんたプロなんだから、欠陥は全部把握して直して、正々堂々売りなさいよ」と言う国交省、なかなか厳しいです。
ただし、宅建業者同士で売買を行う場合はこの規定は適用されず、瑕疵担保責任を免責とすることも可能です。
ここに「一般の方お断り物件」が存在する秘密があるのです。
今回紹介した物件は築古なので、瑕疵担保責任を免責にしないとリスクが高くてとても売却できません。
だから、瑕疵担保責任免責で売却するために、宅建業者限定で販売をしているんです。
業者限定物件は美味しいのか?
おそらく、そんなに美味しいわけではないと思います。
なぜかと言うと、売主は「瑕疵担保免責で取引したい」という玄人だからです。
宅建業者限定物件には相応のリスクと、そのリスクを勘案した妥当な値付けがなされていると推測できます。
お宝物件である可能性は特に高くはないでしょう。
なので、あなたもさほど気にすることはないと思います。普通に物件を探したら良いと思います。
今回はちょっとした不動産トリビアぐらいの認識で。。。
【次はこの記事もオススメ】
「瑕疵担保責任免責」の物件には注意!言葉の意味とポイントを解説