不動産投資をするにあたって、怖いのは「家賃の滞納」ですよね。
家賃滞納があると収入も得られないうえ、入居者はいるので新しい入居者を募集することもできない状況に陥ってしまいます。
そのため、大家としては賃借人の家賃滞納は何としても避けたいところです。
ですが、安心してください。家賃滞納リスクは事前にいくつも対策を講じることができ、被害を最小限に食い止めることが可能です。
今回は、入居者の募集段階からできる家賃滞納のリスク対策と、所有する物件で家賃滞納が発生してしまった場合の対応手順を解説したいと思います。
【もくじ】
家賃滞納リスクを避ける手段
最初に、入居者募集の段階で家賃の滞納を防ぐための方法について解説します。
これから物件の入居者を募集しようとしているあなたは必見ですよー。
保証会社の加入を義務付ける
これが一番無難です。入居者に保証会社=家賃保証会社に加入してもらえば、もしその入居者が家賃を滞納したとしても、保証会社が大家のあなたに家賃の支払いをしてくれます。
家賃の支払督促も保証会社が入居者へ行ってくれるので、あなたは特に仕事する必要はありません。
なお、保証会社の加入費用は入居者持ちが通例です。発生する費用には初期費用と更新費用の2種類があります。
初期費用は月額家賃の20~100%程度、更新費用は1~2年単位で1~3万円程度です。
保証会社によって金額が大きく異なるのがネックですが、そこまで大きい費用が発生するわけではありません。
保証会社の加入費用も見越して賃料設定を行いましょう。
家賃保証会社利用時の注意点
保証会社への加入で注意すべき点ですが、仲介業者が入らない直接契約の場合、保証契約を断る会社もあります。
なぜかと言うと、多くの保証会社では販売代理店形式を取っており、不動産会社に代理店として販売してもらう形式にしているからです。
仲介業者を入れる契約の場合は、その業者に提携の保証会社加入手続きを行ってもらうこと。そして直接契約の場合は、対応可能な保証会社に話を持っていくことです。
また、保証会社が倒産した場合、滞納分家賃の支払いを受けられないリスクもあります。
滞納家賃のリスクを保証会社が負うビジネスモデルなので、当然ながら保証会社はきちんと取り立てを成功させないと大損です。
そのため倒産する保証会社も多いです。なるべく大手で基盤のしっかりした保証会社と契約を結んでもらいたいところです。
連帯保証人を確保する
直接契約で保証会社を付けられない場合、連帯保証人を取ることをオススメします(保証会社と両方付ける例もありますが)。
連帯保証人は強制力が強い契約で、債権者(大家)が連帯保証人に債務(滞納家賃)の支払いを請求したら、連帯保証人は断ることができません。
そのため通常の保証人契約より確実に滞納家賃を回収することができます。少し心苦しいかもしれませんが、貸家もビジネスなので、きっちり契約の条件に入れましょう。
連帯保証人の注意点
当然ですが、連帯保証人も滞納家賃を支払える財力が無くてはなりません。
後述しますが、入居者本人と同様、連帯保証人についても年収や勤務状況を確認しておくべきです。
入居者も連帯保証人も滞納家賃を払えない…となったら厄介(裁判を考える)なので、十分気を配っておきましょう。
火災保険(家財、借家人賠責)の加入を義務付ける
火災保険は大家だけでなく、賃借人も加入できます。双方で補償の範囲が異なるので、大家も賃借人も両方がそれぞれ火災保険に加入する状態が望ましいです。
入居者には「借家人賠償責任特約」を付けてもらいましょう。これは入居者の故意や過失による損害に対して補償を受けられるものです。
もし、入居者のたばこの不始末で部屋の一部が焼けてしまったら、大家は入居者に対して損害賠償請求をすることができます。
その時、入居者が借家人賠責保険に加入していれば、入居者は保険金を受け取ることができるので、そこから大家への支払いが可能になるわけです。
もしも借家人賠責保険に入っていなければ、入居者は自分のお金で弁償しなければいけなくなります。
そうなると、家賃の滞納が発生してもおかしくない状況になりますよね。だから、火災保険に加入してもらうことも滞納リスクを下げる大事な要素の一つと言えるのです。
収入証明や勤務先を確認する
仲介業者や家賃保証会社は当たり前(?)に行っているのですが、入居希望者に対する収入や勤務先の確認はちゃんと行いましょう。
例えば、収入が低い人や非正規雇用の人は家賃を滞納するリスクが高いので、くれぐれも注意しなくてはなりません。
また、世の中には暴力団員など反社会的勢力に属する人もいます。万が一そういう人に物件を貸してしまうと、後々で面倒なことになってしまいます。
家賃を支払うのに十分な収入はあるか、安定して収入を得られる勤め先かどうか、人柄も含めて入居希望者をきちんと調査しなければなりません。
家賃滞納が発生した時に回収する方法
「いや、家賃滞納を防ぐ手段はわかったんだけど、実はいま家賃滞納が発生していて困ってるんだよ…」
というあなたには、滞納家賃を回収する方法と手順を以下で解説しておきますので、ぜひご参考にしてください。
※以下、家賃保証会社の加入がない状態を前提としてお話します。
物件を管理会社に依頼している場合
あなたの物件の管理を管理会社に委託しているのであれば、基本的には管理会社に任せてOKです。
とは言え、中には担当が役に立たないなんて状況もあるので…その時は、あなたも一緒に滞納家賃回収に動くと良いでしょう。
直接管理の物件の場合
あなたが物件を直接管理している場合、以下の対応を自分で行わなくてはなりません。
自信がなければプロに依頼しましょう。
入居者に支払いの催促をする
家賃の滞納が発生したら、まずは何より入居者に支払いの催促をしなければいけません。
電話、メール、直接訪問などなどで連絡を取り、きちんと家賃を入金するよう可能な限り何度でも催促します。
賃借人の中には「親が急病で…」「給料が未払いで…」などという嘘をつく悪質な人もいるので、情けをかけるのは基本的にやめた方がいいです。
その入居者がいい人であろうが悪い人であろうが、滞納は滞納です。「何日までに払いなさい」を明確に伝え、漏れなく入金してもらえるよう強制しましょう。
連帯保証人にも連絡する
家賃の滞納が発生した場合、すぐに連帯保証人に支払いを請求することも可能です。
連帯保証人は債務者と同等の責任を負うため、連帯保証人はあなたの請求を拒むことはできません(「入居者に言ってよ」が通じない)。
入居者が普通の良心がある人なら、連帯保証人に支払いをさせてしまったことを反省し、今後は滞納なく家賃を払ってくれるようになる期待も持てます。
しかし、「滞納してすぐ連帯保証人に支払請求するのは酷だなぁ…」と思うあなたは、引き続き以下のように手続きを取っていく必要があります。
※連帯保証人を取っていない場合も、以下の手続きに進みます。
音沙汰なければ入居者に内容証明を送る
悪質な滞納者は、家賃を滞納してから大家の電話に出なくなることもあり得ます。あるいは夜逃げをしていたり…。
そのように入居者の音沙汰がなく連絡が取れない場合は、「家賃が未納です。振り込んでください」という旨の内容証明郵便を送りつけます。
また、滞納期間が長く、法的に言えば「大家と賃借人の信頼関係が破壊された」場合は「指定期日までに振込がない場合、何日付で賃貸借契約を解除する」という一文も加えておくべきです。
内容証明は、今後裁判を通じて物件の明け渡しや支払いの請求を行う際の有力な証拠書類となります。
入居者にとっても心理的なプレッシャーは大きいので、内容証明を送ることでついに入金されるパターンも多いようです。
入金がなければ裁判へ
内容証明郵便を送っても指定した期日までに滞納家賃の振込がない場合は、最後の手段として裁判にかける必要があります。
連帯保証人を取っている場合は、最も遅くとも裁判の代わりに全額の弁済を要求しておくべきです。
この裁判では、物件の明け渡し請求(契約解除後も不法占拠しているとみなされる)および滞納家賃の支払い、それらに伴う損害賠償の請求を行うことになります。
さすがに裁判は大家のあなた一人では難しいでしょうから、弁護士を付けた方が良いでしょう。
弁護士費用も安くないので「プロに依頼する費用でも…もったいない」と思われるかもしれませんが、自分一人でやったとして、法律の勉強に費やす時間や、お金を取りっぱぐれるリスクも考慮すると、素直に任せたほうが得策だと思います。
まとめ
・家賃滞納を防ぐには、募集時点で「家賃保証会社or連帯保証人必須」「火災保険加入必須」と決めておき、入居希望者の収入と勤務状況もしっかりと確認する
・もし家賃の滞納が発生した場合、「入金を催促⇒内容証明を送りつける⇒裁判にかける」と段階的に手を打ち回収を図る
不動産投資では、もし家賃滞納が発生したとしても、それは大家であるあなたの責任です。
きちんと家賃滞納に対するリスクヘッジや回収の手はずを取らないと、ただ踏み倒されて泣き寝入りするだけで終わってしまいます。
僕はそういう泣き寝入り大家さん(投資家ではない素人)にも何人か会いましたが、「家賃を滞納されてなぁ…」って話を聴いても「いや、自己責任でしょ…」としか思えません。
厳しいですが、現実はそんなもんです。きちんと対策を講じていれば防げるものを、怠った、もしくは知らなかったために、自分でお金を損しただけの話です。
「投資は自己責任」という言葉はまさしくですね。無知は罪です。
家賃滞納は収入にも大きな悪影響を与えるし、大家にも入居者にも連帯保証人にも心理的ダメージが大きいナーバスな問題です。
大家として活動するあなた、必ず家賃滞納への対策を取るようにしてくださいね。
最後に自分が以前つぶやいたツイートを引用して〆ます。
人づてだが、とある大家さん(投資家ではないはず)の弁。
— 鈴木教平 (@munewo_house) 2017年6月28日
「以前に家賃滞納で痛い目を見たから、やっぱり賃料2.5万円にしているのを、3万円で出しなおしてほしい」
全く何の解決にもならないじゃん…
家賃保証会社の導入や連帯保証人の契約をしないと、取りっぱぐれて終わるだけだ。
「知識がない」ということは罪。
— 鈴木教平 (@munewo_house) 2017年6月28日
自分はもちろん、他人にも迷惑をかけて損をさせてしまう。
問題が起きてから「知らない、知らなかった」と言うのは愚かだし、ましてやそれを言い訳に使う人間がいたら、ビジネスや投資をする資格はないと思う。
世の中は完全に自己責任のシビアな世界なのだ。 https://t.co/CkyUD6LXVz
【次はこの記事もオススメ】