中古住宅を購入する時、くれぐれも注意しなければならないのが「シロアリ被害」です。
シロアリが生息している家は、日々あちこちの木材が食い荒らされ、気が付けば構造がボロボロになってしまいます。
その結果、床が凹んだり、建てつけが悪くなったり、耐震強度が大きく損なわれたりしてしまうのです。
実際に僕の家もシロアリ被害に遭っていて、実際にその危険性を目の当たりにしています。
また、様々な築古住宅を内覧する中で、シロアリ被害で大きくダメージを受けている物件も見てきました。
そうした経験から、シロアリの危険性と、シロアリ被害の有無を確認する方法について解説しようと思います。
【もくじ】
シロアリ被害の危険性
シロアリは建物の木材を食い荒らすことにより、建物のあちこちにダメージを与え、生活の利便性を大きく損ないます。
シロアリによって様々な箇所に被害が出てしまうのですが、まずはシロアリ被害の主な事例について紹介していこうと思います。
床がたわむ⇒抜ける
シロアリは地面に巣食い、地面に近い木材を食害するケースが多いです。
そのため、シロアリ被害で非常に多いのは、基礎の木材や床板を食害されることで床にたわみが発生するケースです。
特に、基礎が食害で劣化して沈んでしまっている場合は、建物の強度が大きく劣ってしまうので要注意です。
また、床のたわみを放置していたら、いずれ床は抜けます。そうなると、下地から床の張替えを行わなければならなくなります。
もし築古の物件を内覧している時、やたらと床が凹む箇所があったらシロアリ被害を疑ってください。
特にキッチンやトイレ、風呂など水回りに近い床面は劣化する可能性が高いので、必ずチェックしておきましょう。
梁や柱など躯体が朽ちる
シロアリは、柱や梁といった建物に欠かせない主要構造部も食害します。
柱や梁は一つ欠けるだけで建物に大きな負荷が掛かってしまい、家が傾いたり、簡単に倒壊するほど強度が落ちてしまう可能性もあります。
梁を食害される可能性はあまり高くはありませんが、柱にはくれぐれも注意してください。
柱の食害は目で見れば判断できるケースも多いので、見逃さないように(詳しくは後述)。
羽アリが大量出現する
精神衛生上のマイナス面なのですが、シロアリが巣食う家では5月~6月あたりに羽アリが大量発生する場合があります。
僕の家でも、朝起きたらキッチンにおびただしい数の羽アリがうろうろしていて、気持ち悪くて背筋が凍りました…
一気に掃除機で吸い込んで退治しましたが、朝からシロアリがうぞうぞと家を歩き回っている光景なんて見たくないですよね。。
(シロアリと言っても羽アリは色が黒いので、最初は普通のアリと勘違いしました)
駆除費用が高い
シロアリ被害に遭ってしまったら、速やかにシロアリ駆除をプロの業者に依頼しなければなりません。
自分で出来ない事もないのですが、床下に潜ったり、木材に穴を開けて薬剤を注入したりと大変な作業も多いので、プロに発注するのが普通です。
しかし、その駆除費用もなかなかいいお値段するんですよね…。さらに被害箇所の修繕費もかかってきますし。
木材へのダメージも大きければ、お財布へのダメージもまた大きいのがシロアリ被害の辛いところです。
シロアリ被害に遭いやすい物件とは
僕の家もシロアリ被害に遭いやすい物件なのですが、その条件についてまとめました。
以下に該当する物件の購入を検討する際は、くれぐれもシロアリ被害と対策状況の確認を怠らないようにしましょう。
木造物件
シロアリは木材を食害する虫なので、当然ですが木造物件は最も狙われやすいです。
特に築古の木造住宅になると、過去にシロアリ被害に遭ったことがある物件も多いため、被害状況の確認は欠かせません。
木造物件はRC造などに比べて価格が安いですが、シロアリ被害の危険性が上がるリスクは考慮しておきましょう。
雨漏りがあった
過去に雨漏りがあった、あるいは現在雨漏りしている物件は、シロアリ被害に遭う可能性が上がります。
シロアリは湿った木材を好んで食害するため、雨が侵食している箇所は要注意!
天井、梁、柱、壁などなど、雨漏りも放置するとあちこちに被害が拡大していくので、早めの修繕が必要ですね。
※雨漏りの恐怖については、以下の事例も見てください▼
湿気が多い
以前は湿地だった土地や、山や川に近い土地など、湿気が多い土地にある物件もシロアリ被害に遭う可能性が上がります。
特に山に近い場所だと、シロアリが付近に生息している可能性が高いので、くれぐれも注意が必要です。
物件にきちんと湿気対策がなされているか、防蟻工事はされているか、よくよく確認しましょう。
シロアリ被害を確認する方法
シロアリ被害って、意外と内覧してすぐに気付けるものではないのです。
被害箇所がどのようになるかを知った上で、気を付けて確認をしないと発見することは容易ではありません。
以下でシロアリ被害箇所の特徴と、物件の見るべき主な箇所を紹介しますので、物件の内覧前にきちんと確認しておきましょう。
物件資料、重要事項説明書は必読
物件探しをしている時は、まず内覧前に物件資料に目を通しましょう。
シロアリ被害がある物件については、その旨を通知する義務があるため、物件資料の備考欄などを確認すれば現状のシロアリ被害の有無は大抵確認できます。
しかし、家主や仲介業者がシロアリ被害に気付いていない場合は、現状シロアリ被害があっても記載は抜けてしまいます。
なので、きちんと自分の目で物件を内覧し、現状のシロアリ被害の有無や、過去のシロアリ被害箇所があるかどうかを確認しなければなりません。
もし、シロアリ被害のある物件を瑕疵担保責任免責で購入してしまったら、修繕費用を負担しなければならなくなるので要注意ですよ!
※以下の記事もご参考にどうぞ▼
床はへこむか?
実際に物件を内覧する時、床に凹む部分がないかどうかを確認しておきましょう。
物件の隅々まで歩いて回り、床のへたりが無いことを確認できればOKです。
特に、風呂・キッチン・トイレなど水回りの部分は入念にチェックしてください。
柱や板などに食われた跡があるか?
シロアリが食害した木材は、以下の写真のようにいびつな穴が開きます。
シロアリは木材の内側を食い荒らしていくので、木材には独特の形の空洞が浮かび上がっていきます。
もし、木材に縦長の空洞がいくつも見られる箇所が発見されたら、その部分はシロアリ被害に遭っている可能性大です。
必ずシロアリの被害状況と駆除の状況を調べておかなければなりません。
木材を叩いてスカスカな音がしないか?
表面は一見問題が無さそうでも、実はシロアリ被害に遭っている木材も中には存在します。
そういう箇所がないかどうか確認するには、柱の下の方など怪しい部分をベシベシと手で叩いてみてください。
通常の木材なら木が詰まった固い感触と音がするはずですが、もしシロアリ被害に遭っている木材を叩いた場合は、軽くて高めのスカスカな音がするはずです。
5~6月に羽アリが大量出現したか?
これは内覧の際にはまず分からないのですが、もし大家や仲介業者、近隣の方から「羽アリが大量発生していた」という情報があったら要注意です。
5~6月に家の中に突如出現する羽アリの集団は、多くの場合家に巣食っていたシロアリです。
シロアリは大体その時期に、集団の一部が巣から離れて別の場所へと営巣しに旅立ちます。その影響で、家に羽アリが大量発生してしまうのです。
先述の通り、シロアリの羽アリは黒アリと見分けが付かない場合も多いので、「普通のアリだと思うけど…」という話を聞いても鵜呑みにするのはマズイかもしれません。
我が家のシロアリ被害について
ちなみに、築100年で日当たりの悪い我が家のシロアリ被害についてですが…
2年ほど空き家だったこともあり、最初に物件を見た時には1階の床が全滅でした。
基礎の柱も床板もシロアリにやられて、まともに使える状態じゃなかったので、1階部分の床は全て大工に張り替えてもらいました。
仕事の都合上、それでも住まなければならなかったのですが、やはり1ヶ月以上家に住める状態ではありませんでした。
メチャクチャだよなぁ…
シロアリ駆除にもお金がかかるし、どうせ住み続けるつもりもないので、結局今は放置しています。
なのでまだシロアリは家のどこかを食害していると思いますが、日々少しずつお風呂まわりの床が怪しくなってきてますね…。
あと、去年は5月、今年は6月に羽アリが大量発生しました。心臓に悪い…!
とにかく、シロアリが巣食っていいことは一つもありませんね。
主なシロアリの種類
日本でよく被害が報告されるシロアリの種類ですが、主に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の二種が存在します。
ヤマトシロアリの特徴
ヤマトシロアリは日本で最も多く生息するシロアリで、北海道の一部を除くほぼ全域に生息していると言われています。
普段は地面に生息しており、地面近くにある湿った木材を食害していきます。
被害箇所は木材の腐朽と紛らわしいため、シロアリ被害の有無を正確に判断するには、やはりプロの目線が重要になります。
イエシロアリの特徴
イエシロアリは西日本沿岸部に生息するシロアリで、最も加害が激しく、非常に危険な種類です。
イエシロアリは、ヤマトシロアリの数十倍もの個体数が生息できる大きな巣を家に作り、家全体を食害していきます。
湿った木材を食害するのはヤマトシロアリと同様ですが、イエシロアリが厄介なのは、自ら水を運んで木材を湿らせ、食害していくところです。
イエシロアリによる被害の拡大スピードは非常に早く、梁から柱、けたなど住宅の全体に被害が及ぶので、発見次第一刻も早い駆除が必要です。
その他に見られるシロアリの種類
ヤマトシロアリ、イエシロアリに比べて被害件数は少ないですが、その他日本の住宅で被害報告がされるシロアリには「アメリカカンザイシロアリ」「ダイコクシロアリ」が存在します。
アメリカカンザイシロアリはその名の通りアメリカ原産で、ヤマトシロアリやイエシロアリと異なり、乾いた木材を食害します。太平洋沿岸部に点在しています。
ダイコクシロアリは奄美大島より南の地域や小笠原諸島にのみ生息しており、こちらも乾いた木材を食害する種類です。
いずれの種類でも、シロアリは物件にとっての大敵。決して油断してはいけません。
シロアリ対策はプロに任せるべし
「シロアリが出た?バルサンでも焚いとけよ」という認識ではいかないのが、シロアリの非常に厄介なところ。
シロアリにはバルサンが効かないので、専用の薬剤を使用して退治する必要があります。
さらに、シロアリは地中に生息していたり、木材の内部に生息していたり、複数の部隊で活動していたりと面倒な生態を持つので、きちんとした知識を有していないと全滅は難しいのです。
なので、基本的にシロアリ駆除はプロに任せるのがオススメです。値段は結構張りますが、シロアリ被害は怖いので、支払う価値は十分にあります。
シロアリ駆除の費用相場
シロアリ駆除の価格相場ですが、結構業者によってまちまちです。
1坪あたり4,000円~8,000円程度とバラつきがあるようなので、相見積もりを取るのが良いかと思います。
中には悪質業者もいるようなので、その点でも複数の業者と話をしながら発注先を決めるべきですね。
自分でできるシロアリ対策
自分でシロアリ駆除を行うための薬剤も市販しています。
家の軒下に入り込んだり、家の隅々まで点検したりと結構な手間はかかってしまいますが、安くあげることは可能です。
シロアリ対策用の薬剤としては、ホウ酸団子のような「食べさせて一網打尽にする」ベイト型と▼
殺虫効果が持続し、シロアリの侵略を防げるスプレー型が人気のようです▼
シロアリ被害が軽微で、初期の段階で発見できた場合であれば、自分で駆除に挑戦しても良いかもしれません。
しかし、シロアリは確実に物件に被害をもたらしていく厄介な存在であるため、やはり多少お金をかけてもプロにきちんと駆除してもらった方が確実でしょう。
【次はこの記事もオススメ】