今日、仕事でありがたい機会を頂きまして。
よくお付き合いのある一級建築士の工学教授の方に、築古の中古戸建物件を内覧する時に確認しておくべきポイントについて実地で教えて頂きました。
改めて重要性を確認できたポイントもあれば、「ここをこうやって確認するのか!」と新たな知見も入手でき、いい勉強になりました。
というわけで、この記事ではプロの目線から見た中古物件の現調ポイントを共有します。僕のように築古物件を狙っている方には特にタメになる知識だと思います。
【もくじ】
屋根の状態と雨漏りの確認
まずとても重要なのは「屋根に損傷がないか」「雨漏りはしていないか」ということです。これは僕自身も重要性をひしひしと感じています。
なぜこれが重要かと言うと、「屋根は素人にはまず直せない」「雨漏りは建物全体にダメージを与える」「補修費用は概して高くつく」という点が苦しいからです。
雨漏りのある物件は、基本的に修繕費や建物躯体へのダメージを覚悟しなければなりません。
※雨漏りで建物がボロボロになった実例を以下の記事で紹介しています▼
築古の戸建では「過去に雨漏りがあった・現に雨漏りしている」物件が珍しくないので、きちんと屋根の損傷や雨漏り被害がないかどうか確かめておきましょう。
なお、チェックの仕方は以下の記事にまとめた方法でおおむね合っているとのことでしたので、以下の記事も確認しておいてくださいね。
雨漏りがあれば屋根裏も確認しよう
もし物件に雨漏りや雨漏り跡を発見した場合は、屋根裏の状態も確認しておいた方が良いです。
これは屋根材や梁がヘタっていないか、屋根裏に損傷がないか、天井にカビが繁殖していないか、といったことを確かめるためです。
屋根材まで雨漏りでやられてしまうと、屋根の修理代金が跳ね上がってしまいます。また、建物躯体が水気やカビにやられると耐震強度が低下したり、シロアリに食われたりするので危険です。
屋根裏はだいたい、どこかの押入れの天井板が動かせるようになっているので、そこから登って確認することができますよ。
床材と床下の状態をチェックする
また、雨漏りと並んで床や床下の補修も厄介です。もし、歩いていて床がブヨブヨしたり凹んだりする場所があったら、必ず床材と床下の状態を調べましょう。
もしその物件にシロアリが湧いていたら、購入は見送るべきです。
参考記事:中古住宅を買う時はシロアリ被害に要注意!物件の被害を確認する方法
床下は、床下収納がある家の場合、その収納ボックスを外してしまえば、そこから身を乗り出して床下の状況をチェックすることができます。
床下にやたらと湿気が溜まっていないか、シロアリに柱が喰われている跡がないかどうか、きちんとチェックしておきましょう。
また、和室の畳部分で凹みが見られる箇所は、畳をめくって床板の状態を調べる必要があります。床板がヘタっていれば交換ですが、もし床板が問題ないのに畳が凹んでいる場合は畳が悪いです。
既存不適格・違法建築でないか
これは宅建業者にも説明義務があるので、通常は物件資料に書いてあります。しかし、100%記載されているとは限らないので、最低限の建築基準法の知識は付けておいた方が良いです。
築古の物件、特に田舎の方にある物件だと、違法な増改築を行っている物件も多いです。僕が確認した物件は、登記されていた増築部分すら違法でした。オイ…。
既存不適格もしくは違法な建築・増築に該当する要素として、具体的には「建ぺい率・容積率はオーバーしていないか」「直接外気に触れる窓がない部屋はないか」「セットバック部分に建物が入っていないか」などを確認する必要があります。
窓のない部屋の有無はともかく、建ぺい率や容積率、セットバック部分については知らないと判断できませんので、お勉強が必要ですね。はい。
既存不適格・違法建築の物件の場合、融資が下りない可能性が高いので、購入時も売却時も苦労してしまいます。
もちろん違法状態の是正にも改修費用が掛かるので、慎重に物件の状況が適法かどうかはチェックしておくべきですね。
※既存不適格で最も代表的な例は「接道条件を満たしていない」というものです。いわゆる再建築不可物件ですね。これに関しては、以下の記事で詳述しています。
水回りは配管設備まで要チェックや!
トイレやお風呂といった水回りは客付けに大事な要素です。
ウォシュレット付きの綺麗なトイレや清潔感のある新しいユニットバスのある物件はそれだけでポイント高いですが、逆にボットン便所だったり、バランス釜風呂だったりすると一気に人気がガタ落ちしますよね。
ですが、水回りで見る必要があるのは、トイレや浴室の新しさだけではありません。配管やボイラー、浄化槽などの設備の状態も確認しておく必要があります。
毎日使う水回りですから、当然故障して使えない期間が出てしまっては大変です。大家は修繕費に加えて、入居者の生活保障費まで支払わなきゃいけない場合も出てきます。
と言っても、具体的な設備や配管の状態をきちんと確認することは難しいので、仲介経由で大家さんにしっかり確認を取ってもらいましょう。
あなたは「ボイラーや浄化槽の型が古くないか」「配管がヘタっていないか」といったことを現地で確認すればOKです。
しっかり現調して高精度な修繕計画を
今回僕が教わった(確認した物件に対して指摘された)調査項目は以上の通りです。
個人的には床周りの調査の仕方が勉強になりましたねー。シロアリは本当に怖いので、被害の有無を目視で調べるのは大事ですね…。
こうしてプロの目線で「どこを見て、どこを改修すべきか」を理解できれば、より正確な修繕計画が立てられるので、不動産投資できちんと利益が出せる可能性がアップしますね。
不動産投資で一番のリスクは何と言っても修繕。築古物件ならましてあちこち痛みが早いので、どの箇所で修繕が必要か、どのタイミングで改修すれば良いかを計算するのは非常に大切です。
内覧をリフォーム業者さんと一緒に行えれば、すぐに見積もりも貰えるのでベストですね。築古物件は修繕費が利回りを左右するカギなので、とっても助かるはずです。
今回、まだまだ僕も物件の見方が甘いなぁと痛感しました。プロの建築士の目線は、さすがに建築目線でバシバシ指摘してくれるので本当にありがたいです。
投資家として物件を見る目、建築や法律から物件を見る目のどちらも持っておかなければなりませんね。
【次はこの記事もオススメ】
⇒姉妹記事です。こちらは不動産投資家の僕の目線から内容をまとめたものです。今回の記事の方ではより細かい部分を取り上げている感じです。
⇒築古物件や中古戸建物件の多くは「瑕疵担保責任免責」で、前大家が物件の欠陥の責任を負わないため、必ず自分の目で必要な修繕を正確に把握する必要があるのです。
⇒不動産投資では建物のリスクを把握することも大事ですが、立地のリスクを把握することも非常に大事です。