ちかごろ「古民家を改装してゲストハウスをやりたい!」という人、多いですよね。
また民泊新法の施行に伴い、これから民泊施設も各地でドンドン増えていくことが期待されます。
さて、民泊やゲストハウスを開業するにあたっては、まず開業するための物件探しが必要です。
マンションやアパートの一角、戸建物件、自宅の一室や離れなどなど、宿泊施設に使用できる物件は多々あります。
しかし、民泊やゲストハウスといった宿泊施設を営むためには、実は物件探しに大きな制約が生じるのです。
というのも、旅館業を営むにあたって必要な開業許可を取得するのに、建築基準法など様々な要件をクリアしなければならないからです(民泊でも一部適用)。
なので、最悪のパターンだと「せっかく物件を買ったのに…宿泊営業が許可されないなんて!」という事もありえます。
そんな最悪のパターンを迎えないように、民泊やゲストハウスの開業を考えているあなたは、事前に物件探しの注意すべきポイントを必ず押さえておきましょうね。
【もくじ】
- 宿泊業が可能な用途地域を選ぶ
- 建物用途&用途変更に注意する
- マンション、アパート民泊は管理規約を確認
- 階段のサイズを図っておくべし
- 木造やテラスハウス物件は騒音に注意
- トイレには手洗い設備併設が必要
- その他諸々…建築基準法にくれぐれも注意
- 民泊OKな物件を簡単に見つけるには
宿泊業が可能な用途地域を選ぶ
民泊やゲストハウスを営むには、まず物件の「用途地域」を確認する必要があります。
なぜかと言うと、宿泊施設を営業できる用途地域・できない用途地域が存在するからです。
※用途地域に関しては以下を参照ください▼
宿泊施設の開業が可能な用途地域は「第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域」の6つです。
なお、民泊新法に基づく民泊(年180日以内の営業)では、4つの「住居専用地域」でも開業することが可能です(ただし条例による規制が可能)。
それ以外の用途地域に指定されている物件では民泊やゲストハウスを開業することはできないので、手を出してはいけませんよ。
建物用途&用途変更に注意する
民泊・ゲストハウス用物件では、用途地域もさることながら「建物の用途」も重要な要素として関わってきます。
本来、宿泊施設の建物用途は「旅館」「ホテル」「簡易宿所」のいずれかです。ですが、多くの人々が気軽に購入・賃借できる物件は「居宅」の用途がほとんど。
建築基準法では、宿泊事業に使用する面積が100㎡を超える場合、「旅館」「ホテル」「簡易宿所」のいずれかに建物用途を変更しなくてはなりません。
この用途変更がなかなかに厄介なのです。手間がかかる・時間がかかる・お金がかかるの三拍子。
特に築古の物件は要注意です。用途変更を行うには物件を現行の建築基準法に適合した状態にしなければならないので、その改修費用が非常に高くつきます。
なので、民泊やゲストハウスに使用する物件は、使用する面積を100㎡未満に抑えられるものを選ぶのが望ましいです(既に用途が宿泊施設の場合は除く)。
※宿泊施設に使うスペースが100㎡未満であれば良いので、延床面積100㎡以上の物件でも開業は可能です。
マンション、アパート民泊は管理規約を確認
マンションやアパートの一室を使って民泊を行う事例は多いです。
ですが、民泊による住民トラブルの多発や、マンションやアパートを利用した違法民泊施設が多いことから、管理規約で民泊を禁止している物件も珍しくなくなりました。
都市部では戸建などに比べてマンションやアパートを借りやすい環境にありますが、借りる前にきちんと民泊が可能かどうか、管理規約を確認しなければなりません。
仲介業者に確認を依頼すれば、民泊可能かどうか教えてくれるでしょう。
階段のサイズを図っておくべし
宿泊施設には、お客様が寝泊まりするための部屋を「客室」と呼びます。
客室は睡眠中のお客様でも安全に逃げられるよう、建築基準法で様々な防災に関する規定が設けられています。
そこで見落としがちなのが「階段のサイズ」です。築古物件だとこの条件を満たしていないものが多く、その場合、その階段を通らなければ行けない部屋を客室にすることはできません。
宿泊可能な客数が少なくなり、採算が合わなくなるリスクが高くなるので要注意です。
なお、旅館・ホテルの用途における必要な階段のサイズは「幅75cm以上×踏面21cm以上×蹴上げ22cm以下」となります。
要するに「幅は広々、足を置くスペースも広く、一段ごとの高さも低い、安心安全に昇降できる階段」の必要があるということですね。
また、客室と階段が離れすぎていても避難に支障が出るのでNGです。規模の大きい物件を検討する際はご注意を。
木造やテラスハウス物件は騒音に注意
民泊やゲストハウスでよく問題になるのがゲストによる騒音です。
夜にグループで飲んではしゃいで大騒ぎ…なんて不届きなゲストはどうしても出てきます。そうなると、近所迷惑は避けられません。
そういった騒音問題を考慮すると、防音性の低い木造の物件や、隣の家と壁を共有しているテラスハウス物件の場合は特に注意が必要です。
また、住宅が密集する閑静な住宅街などではトラブルになる可能性も高いため、あまり宿泊施設用物件の立地としてはふさわしくありません。
トイレには手洗い設備併設が必要
細かい部分ですが、トイレには併設の手洗い設備が必要になるので注意が必要です。
自治体によっては洋式タンクに付いている手洗い設備でも許可が下りますが、基本的にはトイレの個室内か個室に隣接した場所に設置する必要があります。
衛生的な宿泊施設が望ましいですからねー。
その他諸々…建築基準法にくれぐれも注意
以上、民泊・ゲストハウス用物件を検討する際の主な注意事項を紹介しました。
その他にも細かな規定が様々に存在するため、旅館業法の許可を取得する際は、必ず保健所の担当に細かく指示を仰ぎながら準備を行っていきましょう。
民泊新法の適用によって面倒な旅館業法の開業許可は必ずしも必要は無くなりましたが、覚えておくべき知識だと思いますよ。
不動産オーナーとして宿泊事業に携わる場合でも、これらの知識が生きてくることがあるはずですし。
民泊OKな物件を簡単に見つけるには
民泊の営業許可が出る物件、家主などから民泊営業の許可を得ている物件を専門に紹介しているサイトがあります。
この民泊物件.comでは、東京・大阪・京都の3エリアで計4,000物件以上の民泊利用可能な物件を探すことができます。
普通に不動産屋を回ったり、ポータルサイトを見ている限りではなかなか手に入らない民泊許可物件を見つけられるのは非常に重宝しますね。
物件はマンションの一室がメインですが、戸建一棟貸し物件なんかもあります。家賃は通常の相場よりやや高めですが、家主側の民泊リスクを考えると仕方ないでしょう。
また、民泊新法の施行後には、楽天とLIFULL HOME'Sも民泊物件紹介に乗り出すことが決まっています。
不動産ポータル最大手のHOME'Sが参入することで、民泊可能物件の探しやすさは大きく変わることでしょう。
公式のティザーサイトも公開されています▼
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