投資をするなら、当然ながら利回りは低いより高いほうがいいですよね。
以前に低すぎる表面利回りの物件を購入し、爆死寸前になっている投資家の事例も紹介したように、不動産投資は運用中の出費が多いため、ある程度の利回りを確保しなければ赤字になる危険性があります。
しかし、「高利回りの物件をゲットできたぜ!これで稼げる!」というのも、これまた危険な考え方です。
なぜかと言うと、「高利回り物件には、相応の高いリスクがある」からです。
きちんとリスクの内容を把握して、うまくヘッジする策を講じられなければ、高利回りの物件だからと言って全く安心することはできません。
僕も表面利回り25%以上を出せる物件を保有していますが、ちっとも安心はできないですね…。
今回は「高利回りの物件って、どんな物件?」ということをお話しようと思います。
特に、高利回り物件に付きもののリスクの一覧と、リスクヘッジの策について詳しくお伝えします。
高利回り物件を探しはじめる前に、必ず読んでおいてください。
【もくじ】
賃貸ニーズが低いエリアにある
不動産の利回りは、東京など賃貸ニーズが高いエリアほど低く、逆に郊外に行くにつれニーズは下がり、利回りは上がります。
なので、大都市から離れた地方都市や田舎町に行けば行くほど、高利回りの物件が見つかりやすくなります。
たとえば東京都で言うと、港区の住宅と青梅市の住宅では、青梅市の利回りの方が圧倒的に高い傾向にあります。
港区は都心の高級住宅街で、人口も住みたい人も多いため賃貸ニーズが多く、空室率を低く抑えることが期待できるエリアです。
一方、青梅市は都心からかなり離れた住宅街。都心への通勤が不便なので人気のないベッドタウンです。借り手が少ないので、空室率が上がる傾向にあります。
要するに、賃貸ニーズは物件の空室率を左右する大きな要素のため、利回りにも強く影響してくるということです。
東京都心なら、利回りは低いが空室がすぐ埋まるので、空室リスクは少ない。
逆に郊外は利回りが高いものの、空室期間が長引いてトータルの収入が減るリスクがある。
不動産投資をするにあたって、物件の立地=賃貸ニーズがあるかどうかは、非常に大事な要素の一つです。
賃貸ニーズの低いエリアの物件に手を出す場合のリスクヘッジですが、これは綿密なリサーチを行うしかありません。
仲介業者へのヒアリングや、近隣に空き家が多いかどうか、買物施設や教育機関、交通の便といった要素を自らの足で調査し、借り手が付くかどうかを調査しましょう。
青梅のように人気の低いベッドタウンだとしても、「地元での住み替え客」のニーズは多いのです。
都心のオフィス街に出勤する人々だけでなく、地元の人々が「住みたい!」と思うかどうかを考え、リサーチするのが大事です。
中心市街に位置していたり、駐車場が2台分以上あったり、庭付きだったり、最新の設備が揃っていたり…など、近隣の他物件に勝てる強みを探しましょう。
築年が古い
築年数が古ければ古いほど、不動産の利回りは高くなる傾向にあります。
不動産もモノなので、年数が経てばその分もろくなり、修繕費が多くなるし地震などで倒壊する危険性も大きくなるからです。
特に、耐用年数(RC造47年、S造34年、木造22年)を超えた物件だと、金融機関も融資を渋る傾向にあります。
融資を受けづらい物件は購入しても売却しづらいこともあり、それも高利回り=安値になる要素の一つなのです。
対策としては、まず地震などによる建物破損に備え、火災保険に加入しておきましょう。
築古物件は価格が安いものも多く、場合によっては購入価格より保険金額が上回るケースもあるため、非常に有効です。
※「保険金額」とは補償を受けられる限度額のことです。500万円で購入した物件でも、保険金額を1,000万円に設定したら、1,000万円まで補償が受けられます。
また、発生しそうな修繕箇所と費用をあらかじめ見積もっておくことや、出口戦略(今後どう売却するか)をきちんと固めておくことも大切です。
最初は難しいと思うので、よく勉強した上で先輩大家や親しい仲介業者などに協力してもらうと良いかと思います。
修繕・リフォームが必要
築古物件にも多いのですが、修繕やリフォームが必要な状態で売りに出されることも高利回りの物件には多いです。
僕が今まで内覧した物件でも、高利回りだけどひどい状態の住宅はいっぱいありました。雨漏りで屋根が崩落してたりとか。
そのような大規模な修繕が必要な物件は、その費用ぶん価格が割引になり、結果として高利回りとなります。
また、「いかにも昭和!」という感じの内装の物件は嫌われるので、砂壁に今風のクロスを張るなどのリフォームが必要になります。
その他、風呂やキッチンといった水回りの設備が古かったり、トイレが汲み取りだったりすると、これも賃貸ニーズを損なうので改修する必要が出てきます。
築30年以上の古い物件を検討する時は、こうした修繕や改修が必要になることを覚悟しておいてください。
修繕や改修に対するリスクヘッジ策として、物件を内覧する際に、リフォーム業者に同行してもらうことをオススメします。
そして、どんなリフォームが有効かプランを書いてもらい、見積もりを貰いましょう。
こうすることで、物件価格とリフォーム価格を合わせた金額で再度利回りを計算することが可能になります。
その利回りが依然高ければ引き続き検討できますし、低ければプランを見直すか、物件購入を見送るか、という形になります。
また、時間があって作業が好きな方は、DIYで物件をリフォームする技術を身に付けておくことで、費用を安くあげることも可能です。
もちろん、仕上がりや時間効率の問題があるので、無理にDIYをする必要はありませんが。
僕はDIYに関心があり、やりたいと思うので目下勉強中です。少しずつ実践もしなきゃな…。
管理費等の滞納がある
区分所有物件や借地物件の場合、毎月支払うべき管理費や修繕積立金、地代といったお金の滞納がある物件も存在します。
その場合、新たに購入した人がその滞納分も負担しなければならないのが普通です。
物件ごとに滞納が無いかどうか、物件資料の備考欄をチェックするなどして必ず確認しておきましょう。
もし滞納があれば、滞納額と物件価格を合算した数値で再度利回りを検討する必要があります。
災害の危険性が高い
山の斜面沿いなど土砂災害警戒区域内にある物件や、津波浸水区域にある物件、埋立地など地盤がゆるい物件は災害リスクが高く、そのぶん利回りも上がります。
こちらも火災保険に加入することで、そのリスクを抑えることができます。
詳しくは以下の記事にて▼
事故物件
以前に部屋で誰かが亡くなった場合、それはいわゆる事故物件となり、「心理的瑕疵あり物件」として仲介業者はお客に対して告知する義務も発生します。
さすがに人が亡くなった住宅に住みたいと思える人は少なく、ゆえに利回りも高くなります(もちろん募集家賃も割安になる)。
もしあなたがやたら利回りの良い物件を見つけた時、備考欄に「心理的瑕疵あり」などと書かれていたら、賃貸ニーズや賃料が大幅に下がることを覚悟してください。
また、告知義務違反をする業者はさすがに少ないと思いますが、「念には念を…」というあなたは「大島てる」で調査すると良いでしょう。
僕の家の近くにも事故物件があります。気分は良くないですよね…
再建築不可
再建築不可の物件は出口戦略が立てづらいため、売買価格が安く高利回りの物件も多いです。
詳しい内容については、以下の記事をご覧ください▼
任意売却・競売物件
担保物件を競売にかけられる前に、金融機関の許可を取った上で担保物件を通常通り売却する「任意売却」や、競売にかけられた物件は、通常よりも価格が安く高い利回りが期待できます。
注意点としては、任意売却物件は売主側に余裕がないため、すぐにはけてしまう(売れ残らない)こと。
そして競売物件は「内覧不可」「手続きが少し面倒」「物件によっては市場価格以上に吊り上がる」という大きなリスクも抱えています。
これらの物件に手を出す場合は、焦らずにじっくりと情報を集める必要があります。
高利回り物件の探し方
最後に、高利回り物件の探し方についても簡単に説明します。
基本的には「価格が安い物件=高利回りの物件」なので、不動産ポータルサイトで価格の安い順に検索すればゴロゴロ出てきます。
その他「築年の古い順」「再建築不可」「田舎なエリア」などの条件を指定すれば、高い表面利回りが期待できる物件は数多く見つかると思います。
…そこは誰でも分かるだろって?そりゃそうですよね。
というわけで、掘り出し物件を探す時には「直接取引サイト」や「競売情報サイト」を活用することをオススメします。
高利回り物件には一癖も二癖もある厄介な物件が多いですが、それでもキラリと光るものは見つかるかもしれません。
しっかりとリスクを知り、対策を立てれば、あなたも本当のお宝物件に気付けるようになるかもしれませんよ!
【次はこの記事もオススメ】