不動産を購入・賃貸する際に発生する仲介手数料、あなたはどういう根拠で決まっているか知っていますか?
不動産投資をするとなると、これから何棟も物件を購入することになってくるので、仲介手数料の決まりについては前提知識として知っておいてくださいね。
中には知らないことをいいことに、仲介手数料をぼったくろうとしてくる不届きな業者もいるので…(違法ですが)。
というわけで、仲介手数料の金額の根拠をこの記事でご紹介します。難しくないので、きちんと押さえておきましょう。
【もくじ】
仲介手数料の計算方法
仲介手数料(正式には媒介報酬)は、不動産業界の人々に向けた法律「宅建業法」によって受け取れる上限が決まっています。
手数料を仲介業者に支払うタイミングは、賃借もしくは売買の契約が成立した時。
賃借と売買それぞれで上限金額・計算方法が異なってくるので、ここをきちんと押さえておきましょう。
貸借の場合の仲介手数料
貸借の場合、仲介手数料は成約賃料1ヶ月分が上限となっています。
この手数料は貸主・借主のいずれか、あるいは双方からも受け取ることが可能ですが、受け取れる上限は合計で1ヶ月分までです。
借主が1ヶ月分を仲介業者に支払うケースが多いですが、最近では「仲介手数料無料!」とうたって、貸主の方から1ヶ月分を頂く業者も増えてきました。競争激しい不動産業界ですからねぇ…
売買の場合の仲介手数料
貸借は計算の手間が必要ないほど単純明快でしたが、売買の場合は少し面倒な計算式になっています。
一般的に使われるのは簡易式の計算方法。物件の購入価格によって、それぞれ3つの計算式が存在します。
・物件価格が200万円以下
⇒物件価格×5.40%
・200万円超~400万円以下
⇒物件価格×4.32%+2.16万円
・400万円超
⇒物件価格×3.24%+6.48万円
200万円の物件なら、2,000,000×5.40=108,000円が仲介手数料の上限になります。
300万円なら3,000,000×4.32+21,600=151,200円、
500万円なら5,000,000×3.24%+64,800=226,800円まで受け取ることができます。
売買の場合は売主・買主からそれぞれ上限額まで受け取れるので、不動産業者は最大で上記の2倍の報酬を得られるわけですね。
ただし、不動産取引では売主・買主それぞれ別々の業者が仲介に入って購入に至るケースも珍しくありません。
この場合は、売主側の業者は売主から、買主側の業者は買主から、それぞれ226,800円ずつ受け取る形が一般的です。
こういうことが起きるのは、売主が買い手募集の依頼をA不動産に行っても、BやC不動産も、A不動産が公開したその物件情報を確認し、お客さんに紹介できるからです。
ほら、あなたが家を借りる時だって、「この物件見たい」と担当に話したら、「カギの都合確認しますね」とどこかに電話を掛け始めた…なんてこと、ありましたよね?
それは、大家から借り手募集を受けた賃貸仲介業者に、あなたが話している業者が連絡を取っているからなんです。それと同じなんですよ。
仲介手数料で損しないために
悪徳業者に仲介手数料を上限以上に取られないためには、まず何よりも上記の手数料上限をしっかり覚えておくことが必要です。
その上で気を付けるべきは、「仲介手数料以外の名目で、成約の対価として支払いを求められるもの」も仲介手数料である、という認識です。
これはどういうことかと言うと…Yahoo!知恵袋にも相談があったのですが、仲介手数料と別途で「コンサルティング料」なるものを求められた事例がありました。
先日、気に入った土地・建物があり、購入の意思を担当の不動産屋(買い手側ですね)に話をしたところ、売買価格¥2000万に加えて、手数料およびコンサルタント料 200万円 という明細が来ました。
この場合、もちろん業者が受け取れる仲介手数料は712,800円まで。しかし、この件ではさらに200万円も請求が来ています。
この「コンサルタント料」は、物件の購入の際に手数料として請求していることから、宅建業法上「仲介手数料である」と解釈されます。
そのため、この場合コンサルタント料200万円を支払う必要はなく、あくまでも上限額である712,800円までしか、買主は仲介手数料を支払う義務はありません。
このように、仲介手数料ではない名目で+αの報酬を取ろうとする悪徳業者の事例もネットでは漏れ聞こえているので注意が必要です。
もしあなたがそのような内容を業者に言われたら、そこでの売買は断って他社経由で契約し、その悪徳業者の免許番号を通報してやりましょう。
仲介業者のモチベーションを知っておこう
さて、不動産投資をするに当たってはもう一つ、仲介手数料に絡む仲介業者のモチベーションについても覚えておく必要があります。
当然ながら、仲介業者はバンバン不動産取引を成約させて仲介手数料を稼ぎ、営業マンとして成績を上げなくてはなりません。
そのため、彼らは「賃料や価格が高い物件ほど頑張る」「売主(大家)も買主も自分で探す」のです。
賃料5万の物件も20万の物件も、1つの物件にかかる労力は同じなのです。だから、より多くの手数料が取れる物件を重視するのは当然のことです。
また、売却を依頼された物件は、自ら買ってくれる人を見つけて仲介すれば、彼らは売主・買主双方から仲介手数料を頂けるので、手数料が最大になります。
なので、もしあなたが安い物件を仲介依頼する場合は、手数料に代わるモチベーションを彼らに与えていかなければなりません。
それはおそらく、思いやりあるコミュニケーションによる信頼関係の形成などではないでしょうか。
「すみませんね、あまりお金にならない物件お願いしてしまって。もっといい物件も持ってきますから」というくらいは、きちんと相手を思いやって話をすべきかと思います。
以上、仲介手数料に関する基礎知識のお話でした。
不動産投資だけでなく、あなたが物件を借りたり、マイホームを購入したりする時にも必須の知識なので、ぜひ覚えておきましょうね。
【次はこの記事もオススメ】