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「クラウドソーシングを使えば地方移住しても働ける」って言う行政は、無責任以外の何者でもない。

間違っていないのですが、現実を分かっていない発言に感じてしまいますわ。

こんにちは、すずきです。

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地方には、仕事がない!

あなたもご存じの通り、地方は東京に比べて仕事がありません。

「求人が無い」という意味ではなく、求人の絶対数が少ないのです。

 

求人数が少なければ、自分がやりたい仕事を選ぶ事もまともにできない可能性があります。

しかも、田舎に行けば行くほどろくな産業もノウハウも無いので、待遇の良いホワイトカラーの職はやはり得にくくなります。

 

おまけに、地方はほとんど国公立くらいしかまともな大学がありません。

一般的に「良い企業」とされる会社に行くには、やはりそこそこ良い大学に行くのが確実な選択肢です。

その為、地元の高校生は、まともな職を得よう・キャリアアップしようと考えたら、どうしても都会に出て行かなければなりません。

(尾鷲のような田舎では、レベルの高い高校が無い町も珍しくない。その場合、高校入学から外に出てしまいます)

 

その結果、地方からは若者がどんどん居なくなり、「東京は日本一の田舎者の町」と言われるほど、都会に人が集中してしまうのです。

 

もちろん、行政も「仕事がないから若者が消えて、人口が減る」という事は分かっています。

そのため、企業誘致に力を入れだしたり、地元企業の外部PRを強化したりする自治体が増えてきています(もちろん、尾鷲も)。

 

 

そんな中で、特定のワークスタイルを送る人々の存在にも、行政の目が向きました。

そう、「フリーランサー」です。

 

「フリーランサー」「クラウドソーシング」とは何か

フリーランサーは、「特定の会社に属さず、自分で従業員も雇わず、自身の仕事で生計を立てる人」といった意味合いで使われます。

フリーランサーの語源は、「自由な槍」=「自分で加勢する組織を決め、渡り歩く傭兵」らしいです。

最近流行の「ノマド」にも近しいワークスタイルを送る人々ですね。

 

フリーランサーは当然、自分で仕事をするのだから、自分で案件を取っていかなきゃ食べて行けない。

もちろん、自分で仕事を取る為には、色々な人脈が無ければいけないし、実力も認めてもらわなければならず、なかなかハードルは高いのが現実です。

 

そこで登場した画期的なプラットフォームが、「クラウドソーシング」です。

 

クラウドソーシングとは、「クラウド上=インターネット上で、主に仕事を発注したい企業が案件を登録し、フリーランサーがその仕事一覧から好きな仕事・できる仕事を選んで案件を取っていく仕組み」です。

フリーランサーが気軽かつ自由に案件を探し、簡単に受託できるようになったことから、「既存顧客への依存」「新規開拓の困難さ」というかつて存在していた障壁が一気に低くなったのです。

そんなクラウドソーシングサイトの登場により、フリーランサー人口はここ最近急激に増えることになりました。

 

まぁ、そんなフリーランサーに対して、人口減少対策をしたい各自治体の職員はこう思うわけです。

「クラウドソーシングとか便利なのもあるみたいだし、フリーランサーを町に呼べばいいじゃん!」

中には、クラウドソーシングサイト大手のランサーズ、クラウドワークスと組んでフリーランサー移住を促進している自治体もあります。
(参考記事:ランサーズ クラウドワークス

 

僕、この取り組み自体はすごく良いと思うのです。

確かにフリーランサーなら場所を選ばず身軽だから、移住はしてもらいやすい。

しかも、彼らは情報発信力に長けているから、地域の魅力を積極的に外部へ発信してくれるでしょう。

 

 

ですが最近、企業誘致や地元の仕事PRに加えて、こんな煽り文句も目立つようになりました。

「クラウドソーシングを使えば地方移住しても働ける」

 

僕は、この煽り文句に異論を呈したい。

なぜなら行政に対して以下の疑問があるからです。

 

「あんた、本当にクラウドソーシング市場の現実を知っているの?」

 

すげえ短絡的に聞こえるんですよね。

 

なぜ僕が「短絡的」だと感じるのか

まず、クラウドワークスが今年の2月に公表した決算資料によると、サイト内のユーザー80万人に対して、月収20万円以上のユーザーは何と111人だそうです。

パーセンテージに直すと、約0.014% …。

もちろん、全ての人がクラウドワークス経由の案件だけで生計を立てている訳ではないですが、それにしても少ない割合。

つまり、「クラウドソーシングだけで食べていける人」というのは、ほぼ皆無なのです。

 

また、もう一つ。

ランサーズやクラウドワークスは、「発注者も、受注者も」気軽に仕事を委託・受託できるようにした素晴らしいプラットフォームなのですが、その影響で発注者もフリーランサーも数が従来よりドンと増え、その「質」に大きなバラツキが生じるようになりました。

 

具体的に「質」が何なのかと言うと、「発注条件の妥当性」と「フリーランサー側のスキル」です。

 

発注者側は、仕事が欲しい有象無象のフリーランサーが存在している為、「単価を安くしてもまぁ請けてくれる人いるっしょ」という考えになりがちです。

で、案の定、スキルが低い≒経験が乏しいフリーランサーというのは、目の前の仕事欲しさに、その発注金額が妥当かどうかも分からず安い仕事に飛びつくわけです。

 

その結果、ドンドンと発注単価の安い案件がまかり通るようになり、徐々に増えていき…

現在では、キュレーションサイトの記事執筆やら何やらが、相場の数分の一未満のレベルの案件が珍しくなくなってしまいました。

 

厄介なのは、「価格を吊り下げる発注者」「無知なフリーランサー」が増えた事により、新たに「適正価格が分からない発注者」も増えてしまった事です。

誰も請けてくれないような糞単価を、何の疑問もなく出してしまう発注者は、最近多いようです。

 

僕もクラウドソーシングサイトを使って、兼業コピーライターとしてちょっとしたライティング業務を請けて小遣いを稼いでいました。

その時は、自分のスキル的に無理なく時給1,000円以上を確保できる案件のみ、請け負わせてもらっていました。

でも、条件が悪くてとても請けられない案件の依頼のほうが、かなりの割合を占めていましたね。

(僕がほとんど件数を請けていないので、ビギナーと思われたのもあると思いますが…)

 

要は、クラウドソーシングを使うにあたっても、ある程度の実力や費用対効果を読める能力が無ければ、きちんと案件をこなしてお金を貰うことまかりならん、という事です。

超当たり前ですが。

 

しかし、こういう現状がある中で、クラウドソーシングを全く未経験(今まで聞いたことすらなかった)の行政の人々が「クラウドソーシング使って地方移住して仕事しようよ!」とか無責任に言うのが、ちょっとむかっ腹立つ訳ですよ。

彼らは「クラウドソーシングは、誰もがあらゆる場所で仕事ができる素晴らしいシステムだ!これこそ地方創生のカギ!万歳!」とか思っているんでしょうかね?

さすがにそうは思っていなくても、どうも無責任な言葉使いに聞こえてしまうんですよねぇ。

 

よく聞く話ですが、地方移住したい人の中には「都会では生きていけない人」も結構紛れているらしいですね。

極端なコミュ障で人混みから逃れたいとか、闇金踏み倒したとか、前科付きで仕事が出来ないとか。

…ましてやそういう人って田舎の方が生きていけない可能性大だと思いますが、そういう言わば能無しの連中がクラウドソーシングでバリバリ稼ぐスキルを持てますかね?

まぁ、それは極論ですが。でも、当然ながら誰もがクラウドソーシングで稼げる訳ではないということです。

 

 

結論、「クラウドソーシングは、地方移住の良い選択肢」くらいに留めとけ

何だかんだ言って、僕は、クラウドソーシング自体は、地方移住を考える際にとても助けになるサービスだと考えています。

だって、給料が安い地方で仕事をしながら、「もう少しお金が欲しい」を比較的フレキシブルに叶えてくれますからね。

人並みの仕事能力さえあれば、クラウドソーシングで月2~3万程度は普通に稼げるようになりますから。

地方で2~3万は大きいです。場所によっちゃあ、東京の5万くらいには値するんじゃないでしょうかね?

 

まぁ、行政の皆さんには「言い方に気を付ける」ということと、「推すんならちゃんと理解する」ということを徹底してもらいたいなー、というのが僕の最終的な意見です。

国民や住民の代表たる人々なんだから、責任持って正しい理解・正確な言葉使いをしなきゃあね。

もし、クラウドソーシングを良く知らないんだったら、素直に「フリーランサー来て!」って言うだけで良いような気もしますけどね。

 

 

じゃあの。