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アクセス悪いし何もないのに、何か神秘を感じて惹かれる…尾鷲の誇る秘境・須賀利にまた行ってきた。

天気も良かったので、仕事がてらまた須賀利に行ってきました

こんにちは、巣でヒナに餌をやるツバメを撮影しようとしたら親鳥に攻撃されたすずきです。

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尾鷲市街地から、遠路はるばる須賀利へ

今回は空き家物件調査&集落の見学&運転の練習(笑)を兼ねて、昼過ぎから須賀利へ。

相変わらず激しい飛び地なので、市街地から紀北町を通り、車で40分という遠路を行きます。

 

尾鷲のお隣・海山の街から、汽水で取れる珍しいカキ「渡利牡蠣」で有名な白石湖を抜け、湾沿いにずーっと東へ。

海水浴場を抜けたら、ヘアピンカーブで急な峠を越えて、いよいよ秘境・須賀利へ辿り着きます。

 

いやー、今まで数回須賀利には行ったことがあるんですが、車に乗せてもらう度に、須賀利手前のヘアピンカーブに驚いていました。

制限速度が40キロの道なのに、「急カーブ 安全速度20」とか書いてあるくらいの角度が連続し、勾配もそこそこある。

運転に馴れていない僕からすると、「俺じゃ一人で須賀利まで行くのはまだ無理かな…」と考えてしまうほど。

 

とは言え、それから一ヶ月経っていて、まぁ少しずつ車の運転にも慣れてきました。

午後からの予定は空いていたし、ずっと机に座ってても良い発想は浮かばないので、「思い切って須賀利まで一人で運転したろう!」という事で、勇んで役所を出たわけです。

もちろん一人で片道40分、狭い道&峠越えのルートを行くのは不安でしたが、これを乗り越えないと運転は上達しない!

 

うん、借りた公用車に鳥の糞がベッタリ付いてたし、今日の俺は運があるって事で大丈夫だろ。

 

という訳で、峠を越えて紀北町に入り、奇跡の清流・銚子川を渡り、白石湖のカキ養殖場を越え、幾つものトンネルを越え、最後の峠を何とかクリアして…

着きました、ようやく須賀利です。

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あーーー、疲れた。でも何とか運転できたよ!やったね!

急な山々と海に挟まれた、わずかな集落を歩く

さて、わざわざ須賀利まで頑張って運転してきたので、さすがに疲れました。

疲れたからちょっとコーヒーでも飲んで、休憩したら帰ろう。

 

という訳にもいかず。ちゃんと仕事はしないといけません。

空き家バンクへの登録物件の確認と、街をもっとしっかり見学するため、町中を散策します。

 

須賀利は急な山々に囲まれた街で、半島に食い込む湾との間、たった100m程度の幅の場所にへばりつくようにして作り上げられています。

そんな地形のため、こんなエクストリームな光景が町中に入ってさっそく拝めるのです。

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ほら、一本道を隔ててるだけなのに、すごい高台になっていますね。

以前のエントリーで須賀利に訪れた時は、その高台にある物件を観に行ったんですよねー。

www.kyohei-suzuki.com

上と下の道でそれぞれ見える景色は全然違います。

上であれば、湾を一望できる壮観。下であれば、触れられそうな距離に海を抱える贅沢さ。ディ・モールト良いぞッ!

 

昔ながらの漁村風景をたたえる須賀利、歴史ある家々の軒先を歩いて回ってみると、ちょっと面白いものがよく目につきます。

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見たことありますか?この手形。

実は、これ住民の「米寿のお祝い」に手形を取って、軒先に張り付けるものらしいんですよ。

 

尾鷲市街地など他の地域でも行われている事らしいですが、滅多に見かけません。

でも、須賀利はなぜか、この手形があちこちどんな家を巡っても、ペタペタ張ってあるんですよね。

なぜでしょうか…手フェチの人が多いんですかね?

 

ちなみに、急な山々のふもとにある街なので、山側は急な階段だらけ。

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そんな階段だらけの街の中に、一つやたらと長くてインパクトのある階段を見つけました。

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上を見てみると、何やら荘厳そうな和風建築の建物が…

お寺か何かだと思います。ちょっと登ってみましょうかね。

 

と、手前でこんなものを発見。

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「津波に注意」の掲示ですね。

階段を登っていくと、途中で標高を表示する標識もありました。

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そう、尾鷲はリアス式海岸に面した、太平洋沿いの小さな港町。

東日本大震災で津波による大被害を受けた、三陸地域と同じ地形の町なのです。

なので、将来南海トラフ地震が起きた時には、津波による大きな被害は避けられません。

 

そのため、尾鷲市は少しでも津波による犠牲者を減らそうと、こうして注意喚起の掲示や、標高を掲示する標識の設置を各地域に設置しているのです。

特に市街地なんかは徹底しており、避難経路の掲示はあちこちにあるし、標高10m、20mの掲示には分かりやすく道路にカラーの線まで入れてたりします。

そういう取り組みのおかげで、ある意味皮肉な事ですが、尾鷲は「防災意識の高い町」としても一定の評価を受けていると言います。

 

この掲示があるという事は、この階段を登った先の建物は一時避難所等にも使われる場所なのでしょうかね。

もう少し登っていくと…あ、やっぱり寺でしたね。

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この寺、名を「普済寺」と言います。

寺に近づくと、中から飾らない尾鷲弁が聞こえてきました。まだまだ健在のお寺ですな。

何でも、このお寺で座禅体験ができるツアーもあるとか。こんな秘境で座禅とか、悟り開けそうだわ。

 

普済寺の高台から須賀利全体を見下ろすと、綺麗な緑色の海の手前には、昔ながらの瓦屋根が一面に広がります。

この光景こそ、須賀利が「にほんの里100選」に選出され、「日本一美しい漁村」という声もある由縁となっています。

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こういう眺め、尾鷲には普通にあるはずなのに、なんだか須賀利の眺めだけは神秘的なものを感じるんですよね…

はるばる40分もかけてやって来たから有り難がっているだけなのか?

それはもちろんあるでしょうが、でも、それだけじゃない何かを感じさせるものがあります。

これがいわゆる「パワースポット」ってやつなんですかね。尾鷲のパワースポットと言えば熊野古道だけど、ここにもあったのかもね。

 

で、その普済寺の説明が掲示されていたんですが、何か気になる表記が…

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「鮪供養塔」って、ねぇ、何ですかねコレ。

あれ、本気で鮪の骨が埋まっているんじゃないでしょうねぇ。

なんだか不思議に思っていたんですが、調べたらこんな感じらしいです。

うーん、見た目は普通の墓石みたいで見応え無いですが、名前のインパクトがやっぱりすごいですよね。

 

最後に、集落の奥の方にあったのが、廃校になった旧須賀利小学校です。

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小学校の集落寄りの門の前はコミュニティバスの停留所になっています。

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子供の絵がプリントされた、とても小さなバス。可愛いですねぇ。

利用者は激少なく、1日5往復あるものの、誰も使わない日もザラにあるとかないとか…

どうりで運転手は暇そうに車外に出てくたびれたあくびをしていた訳だ。

 

須賀利はかつて尾鷲港からの巡航船が出ていて、唯一の公共交通手段がそれでした。

しかし、年間数千人と利用者が落ち込んだ事もあり船は廃止、代わりに道路が開通していたので、そこに連絡バスを設置することとなりました。

住民は、尾鷲から紀北町の島勝まで行くバスと、島勝から須賀利まで行く上記のミニバスを乗り継ぐ形で尾鷲市街地まで行く事になったのですが…

結局、自家用車でもバスでも尾鷲に行く住民は少なく、手前の紀北町・相賀で用を済ませる人が多いとか。

 

須賀利の住民の要請で、まがりなりにも一日数十人を運んでいた船からバス交通にシフトしたと言うのに、結局バス利用はほぼ皆無。

さらに、自家用車でも尾鷲には行かず、手前の相賀で用を足されてしまうとなると…まぁ寂しいし悔しいところはありますよね。

尾鷲市は赤字だけを垂れ流して、でも公共交通を打ち切ることもできず…これが田舎の行政の辛いところです。

 

可愛いプリントがされたバスは、決して僕の心を和ませるものではありませんでした。

須賀利自体も、こんな綺麗で多少外部からも注目を集める街ではありますが、少子高齢化著しい限界集落ですからね…

切ない気持ちになります。

帰路につきながら

で、街を見終わった後、車を停めている場所まで引き返していたら、ツバメが僕のすぐ近くを飛んでいました。

何かと思って辺りを見回すと、どうやら横にある漁連の建物の軒先に、雛がいるツバメの巣があるじゃないですか。

ヒナが巣から顔を出してめっちゃピイピイ言ってて、そこにさっき僕のそばを飛んでったツバメが戻ってきて、おもむろにエサをやっていました。

「こりゃあ珍しい」と思ってカメラをそこに向けたら、親鳥が怒って僕に飛びかかってきた訳ですよ。

 

まぁ、ダメージを受けたり糞を食らったりはしていないのですが、子を守る親のパワーをひしひしと感じました。

田代ま○しじゃないんだから、カメラ向けて撮影するくらいいいじゃん!大目に見てよ!

 

帰りの道もやっぱり須賀利。尾鷲市役所に戻るまで40分、峠やら何やらをひたすら越える長い道のりでした。

運転しながら思ったのは、どうにも、須賀利には何とも言えない魅力というか、雰囲気があって良いなぁと。

 

僕、尾鷲の漁村集落は全て行っていますが、好きな集落はいくつもあります。

景色が綺麗で、海も美しく、山も彩り多く、空気がうまくてのどかな雰囲気、照りつける太陽…

そんな爽快な光景は尾鷲に当たり前にあるのですが、須賀利だけは、何だかそれだけじゃ言えないものがある。

 

やっぱり、それは「秘境」と言うべきアクセスの悪さにあるんじゃないかなぁと思います。

 

長らく尾鷲との海路交通しか無く、昭和後期に道路がやっと通っても、細い道、険しい峠道を相賀の市街地から30分かけて行くような場所。

険しい山と海に隔てられ、しかも他の街には遠いという地形が、独特の雰囲気を生み出しているんじゃないかと思います。

それって、ちょうど奈良県の十津川村みたいな感じなんでしょうかね。あそこも、山深くアクセスが最悪だったことで、独特の文化が成長してきた街ですし。

 

いやー、今日改めて須賀利へ来たことで、「遠いから行きたくない」と思ってた自分の考えがちょっと変わりました。

何をする訳でもなく、何となくその雰囲気を歩いて楽しみに行きたい場所…それが須賀利かなぁ、と。

空き家物件の仕入れもできそうだし、今日は良い発見ができましたぜ。

 

他の集落も、もっとくまなく歩いて魅力を見つけなきゃいけませんねぇ。

人口の少ない限界集落だからと言って、奥まで浅い訳では決してないんですね。勉強になりました。

 

 

じゃあの。