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「田舎には仕事がない」問題はどう解決すべきか?地域活性化のカギはここにある。

前回のエントリーの続きです。

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こんにちは、すずきです。

 

前回は、田舎が衰退する最大の要因として「田舎には仕事がない」問題を取り上げました。

はい。田舎にも、仕事は選ばなければ結構あります

都会からエイヤーで移住してきた人でも、相当なコミュ障とか問題ある人でない限り、問題なく食っていけると思います。

田舎ならではの農業・漁業・林業といった求人もありますし、伝統産業や地元有力企業の求人もあります。

それが魅力に移る人には、田舎での就職と言っても特に問題に感じることは少ないと思います。

 

しかし、あくまでもそれは「選ばなければ」というお話。

結局、地元民は「ろくに仕事がなく」、自分の好きな仕事も選べなければ、給料も安くて将来性に乏しい為、それを嫌がって都会に出ていく人がほとんどなのです。

あるいは、「仕事がない」を真に受けてしまい、地元就職がアウトオブ眼中な人達ですね。

これが原因でどんどん地方からは人が流出している。この問題を、僕達は決して見逃してはいけません。

今回は、「じゃあ、その問題についてどう対処すればいいのか」について、僕なりの持論をまとめたいと思います。

1、地域の既にある仕事を魅力的にPRする

まずはコレです。地域にある既存の仕事をアピールすることで、地元の高校生等に振り向いてもらいます。

意外と、地元の高校生は地元の企業や仕事のことを全然知らない人が多かったりします。

地元の有力企業がどんな仕事をしているのか以前に、そもそもその会社のことを知らない事例だってあります。

そういう人は、どうしても「地元じゃ就職できない」と勝手に考えて、地元を離れ、戻らなくなる可能性も高いですよね。

 

で、結局こういう事が起きてしまっているのは、要するに求人のPR不足だと思うんです。

だって、田舎の求人情報なんて、ハローワークに行かないとほとんど見られないんですよ。

タウンワークみたいなフリーペーパーも無いし、リクナビやマイナビなんかにも全然情報は載っていない。

就職活動をスタートした3年生くらいしか、高校生は会社情報をまともに得られない環境です。

 

それならば、やっぱり会社そのものや、その会社の仕事をもっとアピールしていかなきゃいけない。

ハローワークだけじゃなくて、もっと色々な媒体で、もっと踏み込んだ情報を見られてインパクトや興味を持たせられるようにしなきゃいけない。そう思うのです。

どんな方法が考えられるか

まぁ、ひとえにPRと言っても、色んな手法があると思います。

では、どんな手法を使えば良いのだろうか?ちょっと考えてみましょう。

独自の求人情報メディアを作る

まずは「独自の求人情報メディアを作る」こと。

最近では、ハローワークのみならず、自治体でも省庁に申請すれば求人情報の公開等を出来るようになったそうです。

それを受けて、早速自治体独自の地域求人情報サイトやパンフレット等を整備する所も出てきています。

 

ただし、この独自メディアを作るにあたって何より注意すべき点は、「ハローワーク以上の情報を提供すること」です。

ここで言う「ハローワーク以上」は、「ハローワークより、就業を検討する為の有益な情報が多く、かつ就労意欲が湧く」というポイントがカギになります。

ただ単に独自メディアを整備したけど、ハローワークと同じ情報しか載っていなかったら、誰がありがたがって読むのでしょうか。

ここはしっかりと頭をひねって考えなければいけません。写真がいっぱい付いてたりとか、社員インタビューが付いてたりとか、使いやすいUIのサイトだったりとか…

 

また、独自メディアを整備する利点は、「ハローワークを見ない人にも情報提供ができる」ことです。

これは要するに、「誰に、どのように求人情報を提供すべきか」もきちんと考えなければいけないという事に繋がります。

移住者向けに、東京等で開催される移住フェアでパンフレットを配るのか?

「Uターン 三重」とかのワードで、求人メディアのリスティング広告を打つのか?

そういった事もきちんと考えてアプローチする事で、ようやく情報拡散の裾野が広がって行くのです。

仕事の実情が分かるインタビュー等を記事にする

これは上記にも係る事ですが、独自に求人情報を提供するにあたっては、「ハローワーク+α」の情報提供は必須です。

そこで効果的な+αの施策としては、「インタビュー記事を公開する」ことが挙げられます。

 

これは例えば、「この会社はどういう取り組みをしているのか。どういうビジョンを持って、どう行動していくのか」という事を示したりだとか、「この会社でどういう風に働き、どんな暮らし方をしているか」を伝えたりするものですね。

「仕事」を魅力的に表現しているメディアで「日本仕事百貨」というサイトがありますが、そういうイメージで、生きた声をもとに記事を仕立てていくのです。

同サイトは尾鷲の企業や地域おこし協力隊の募集でも結構お世話になっていて、やはり記事にストーリー性や臨場感があり、反応は上々だそうです。

 

そう、ただハローワークとかに掲載されている求人情報―給料いくらとか、就業時間はいつとか、雇用条件ばかりテキストベースで眺めているだけじゃ、会社の魅力や雰囲気、ビジョンは伝わりません。

しかし、直接その会社で働いている社員や役員に話を聞き、それを記事に仕立てれば、その生きた声はリアルにユーザーに刺さってきます。

誰が言ったのかも分からん「風通しの良い社風です!」は何だか怪しくてブラック企業な響きがしますが、実際の社員へのインタビューで「風通しは良いです。きちんと各々の意見を汲み取ってくれる」と言った方が、グッと信憑性は増します。

 

このインタビュー記事の作成は、手間はかかるものの、地元企業や仕事のPRとしては結構踏み込んでいて有効な施策になると思います。

ただし、これも当然ですが、「どこで、どうやって公開するか」を考えていく必要があります。

僕であれば、移住を検討している人向けにサイトを開設し、そこに地元企業のインタビュー記事を公開していく形でプロジェクトを進めていたりします。

もちろん、これだけでは全然アプローチが足りないですが、例えば尾鷲高校の就職課で、企業インタビューやら企業ヒアリングといった取り組みを実践してもらったりすれば、地元学生への有効なPRにはなるんじゃないかなーと感じます。

インターンシップ制度を整備する

これも最近少しずつ聞くようになりましたが、「地元企業等へのインターンシップ制度の整備」はとても有効かと考えています。

尾鷲では、尾鷲高校の生徒向け・国内外の移住者向けとインターンシップ制度を設けている企業があり、毎年その受け入れがなされています。

 

インターンシップを実施することのメリットは、何よりも実際の仕事に触れられる事。

もちろん、「良い会社だ!働きたい!」と思われない場合もあるので、確実に雇用に繋がる訳ではありません。

しかし、高校生にとっては、地元の企業や仕事について深く知れるチャンスになりますし、移住者にとっては、「仕事をしつつ、この街で暮らす」ことをリアルに体感することができます。

だから、「ここで仕事をしたい!」とカッチリはまれば、長く働き続けられる可能性もあり最高ですが、そうでなくても生きたPRに繋がって行きます。

 

とは言っても、インターンシップを受け入れられるかどうかは企業それぞれで難しい話。

自治体主導でインターンシップ制度を街に作って行きたいと思うのであれば、地元各企業とじっくり話し合いをし、双方のメリットをしっかり作った上で導入の是非を長く検討して行くべきかと思います。

 

2、起業を促進する

さて、地元に既にある企業や仕事のPRをする必要性について上記しましたが、次は「新しい企業や仕事」について。

田舎にはそもそも会社の絶対数が少ないという事もあり、既存の企業や仕事をPRするだけでは、いずれネタが底を尽きてしまいます。

「全部の企業をPRしてたら間に合わないよ!」という問題ではなく、地元企業の情報は「ネタが新鮮でない」からです。

 

例えその企業を知らない人でも、「どうせ、地元の会社だし大した事ないだろ」という偏見を持ってしまう可能性がありますからね。

結局のところ、給料が都会に比べて安かったりするので、そういった偏見は起きやすいのです。

 

それを少しでも解消する意味合いも含め、「街で起業を促進する」という事も、一つ「田舎には仕事がない」を解決するのには有効な施策です。

最近では、地方創生の意欲の高まりもあり、各地方の田舎町で様々なローカルベンチャーやお店が新しく立ち上がってきています。

それらは、今後ビジネスが継続・発展出来るかどうかは置いておいて、地域に新たな風と雇用を生み出す可能性を大いに秘めたものです。

 

経済が停滞し、魅力的な仕事が無い田舎町にとって、新しい会社が出来るのは非常に大きなこと。

有名どころでは、徳島県上勝町の「株式会社いろどり」なんかは、これが創立されたおかげで、上勝町は大きく変わったと言いますね。

これはそこらの山に生えている紅葉とか何とかの葉っぱを、「つまもの」として、各地の料亭に出荷販売するというビジネスを行う会社。

山から葉っぱをもいで収穫し、パソコンで出荷作業を行う地元のおばあちゃんの映像を、何度もテレビや本で見かけます。

 

こういう形で、新しい企業が出来れば、街に新しい影響が起こる。

その作用として、その企業の名前は地元にも、外部にも知られますし、会社が大きくなってくれば、「ここで働きたい!」と手を上げてくる人がいる時代にもなりました。

だからこそ、新しい企業を街に生み出していく「起業促進」の施策も、必須ではないかと思うのです。

 

起業促進の施策については、良く実施されているのは開業補助金制度とか、新規事業融資とかですね。

企業やビジネスを作る金銭的なハードルを少しでも補助金や低利率融資という形で低くしてあげる。

こうする事で、少なくとも新たに起業がしやすい環境づくりにはなります。

 

その他に考えられるのは、ビジネスコンテストの実施、高校生への起業支援プログラムの導入、商工会議所のスタッフ力の向上(愛知県岡崎市みたいな)とか、色々ありますねぇ。

地域おこし協力隊の僕としては、最近総務省の方で、地域おこし協力隊の起業支援制度をドンドン拡充して行ってるので、自治体職員は協力隊へ積極的に起業を促進し、勉強させていくようにするのも良い手段と思います。

とにかく、地域おこし協力隊の副業・兼業がNGって言うのはあり得ない!もし100%禁止にしている自治体があったとしたら、寝ぼけてないでさっさと解禁しなさい!

3、企業を誘致する

で、3つ目。一番地域に与えるインパクトが大きいのが「企業誘致」ですね。

これも色んな自治体がやっている事ですが、例えば福島県とか群馬県とか、新幹線沿線の山奥を切り開いて工業団地を募集してたりしますよね。

地域に企業が移転したり、支店や工場を開設したりしてくれると、それだけで人口も税収も上がります。

 

山梨県の山奥にある忍野村は、世界的な機械メーカーのファナックがあるおかげで、人口増加中・財政力指数も基準となる1.00超えになっています。

尾鷲市も、かつて昭和の時代に尾鷲三田火力発電所が誘致されたおかげで、水産と林業しかなかった小さな町が、工業でも大きく栄えることとなりました。

今は尾鷲そのの繁栄は見る影もありませんが、当時儲かっていた名残として、国道42号は、近隣では尾鷲の中心市街地だけが4車線に改良されていたりします。

 

こんな凄いインパクトを地域に起こしうる企業誘致施策ですが、最近では、工場やメーカー誘致に留まらず、IT企業の誘致もよく聞かれるようになりました。

徳島県神山町にサテライトオフィスを開設した、Sansan(「早く言ってよぉー」の名刺管理システム会社)の影響でしょう。

「インターネットがあればどこでも働ける」「田舎でのびのび暮らしたい」という、世間の環境と人々の想いが合致し、Sansanのように地方へサテライト拠点を出す会社もポツポツと増えてきました。

 

ただ、正直、企業誘致っていうのはかなり難しいものじゃないかと思います。

だって「その街でなくてはならない理由」が無ければいけないから。

 

僕も、企業誘致をどうすれば良いのかって言うのは、正直全然分かりません。。

「実際に現地を見てもらい、キーマンが街を愛してくれること」「交通、ネット、生活インフラが整っていること」「開業に良い不動産があること」等が条件になってくるんだと思いますが、地道に環境を整備しつつ、色んな会社の人を街に呼び込み、PRして行くしか無いのでしょうか?

もちろん、補助金で釣るっていう作戦があることは前提として…

 

まぁ、「難しいから」と言って諦めてしまってはどうにもならないので…大々的には行かずとも、地道に、根気よく、たとえ小さな会社でも誘致に取り組んで行くことは肝心だと思います。

新たに起業された会社と同様、地域に始めてやって来た会社も、その地域に新しく強いインパクトをもたらしますからね。

新しい雇用、新しくて面白い仕事が地域に増えれば増えるほど、地元の人達は街を去る率が少なくなって来るし、地域外から移住してくる人も増えて行きます。

そうやって新しい風をガンガン吹き込んで行かないと、その田舎町が廃れて行くのは早いと思います。

 

 

さて、「既存の仕事をPRする」という部分ばかりテキストが多くなってしまって何ですが、僕の思う「田舎には仕事がない」問題の解決策をつらつらと述べて行きました。

僕も地域活性化の道は素人なので、他にも有効なアプローチは色々とあるかも知れません。

 

「田舎にはろくな仕事がない」「田舎にはろくに仕事がない」と言って、地元を去って戻ってこない人々が少しでも少なくなるよう。

また、「意外と面白い仕事あるじゃないか!」と思って外部から田舎へ移住・Uターンする人々が少しでも増えるよう。

何とか、僕はこの問題を解決して行きたいと思っているので、色んな人の意見も聞きたいし、協力者も増やして行きたいと思っています。

がんばるで。

 

じゃあの。